著者
島内 憲夫 高村 美奈子
出版者
順天堂大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

ハッピネス・ライフ・デザインは、人間が生まれて、生活する中で周囲の環境の影響を受けて染み付いてしまった悪い習慣(意識や行動)を改善し、良い習慣(意識や行動)を形成するための方法の開発を意図している。その改善方法を提案するための評価シートとして「ハッピネス・ライフ・チェックシート」の開発を試みた。そのチェック項目は、「快食・快眠・快動・快笑・快楽・快生」ブラス「幸福感」の7項目、基礎的な情報として「健康観(主観的健康の定義)」「健康感(主観的健康状態)」「病歴」「幸せを感じる時」の4項目である。調査は、千葉県Y市、S市、S町、岡山県M町で行った。すべての地域でハッピネス・ライフ。チェックシートを用いて講座前と講座後の比較を行った。特に岡山県のM町では介入群と対象群とに分け、介入群にはハッピネス・ファクター(幸福因子)を発見・促進するため「笑い・人間関係・自信」に焦点を当てた「ふれあい生き生き講座」を行い、対象群にはリスク。ファクター(危険因子)の発見・改善のため「運動・栄養」に焦点を置いた「健やか講座」を行った。講座終了後の調査の結果、介入群・対象群共に「心身とも健やかなこと」の健康観が主流を占めたが、特徴的な差をみると介入群では「心も身体も人間関係も良いこと」・「前向きに生きること」・「人を愛することができること」など身体的・精神的。社会的・スピリチュアル(霊的・魂的)な健康観へと広がりをみせた。一方、対象群は「病気でないこと」、「快食・快眠・快便」など、身体の健康を意識した狭い健康観が多かった。また「幸福感」も介入群の方が高かった。今後はこの種の介入研究を継続し、リスク・ファクターをコントロールすることを重視した健康講座のみでなく、ハッピネス・ファクターを支援する健康講座のカリキュラムについても考えていきたい。