著者
高橋 一将 大鹿 居依 大鹿 聖公
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.53-63, 2010-11-05 (Released:2021-06-30)
参考文献数
43

本研究では, 協働学習をプログラムに用いているミドルスクール用理科プログラムBSCS Science & Technology (以降S&Tとする)に着目し,プログラムにおける協働学習の位置付けと構造について明らかにした。そして, この協働学習を部分的に導人した授業実践を行い.その効果を明らかにした。S&Tの教科書分析から明らかになった協働学習の特徴は以下の5点である。(1) BSCSは,学習者の理科学習への効果と社会的スキル向上への効果を期待し,協働学習をプログラムを構成する原理に明確に位置付けていた。(2) 社会的スキルの活用に重点を置いていた。(3) 協働学習を授業へ導人しやすいように教師用教材を提供していた。(4) 教科書の構造と授業の進め方が協働学習の実施を促進するよう構成されていた。(5) 生徒に学習と協働の両方に責任を持たせていた。S&Tにおける協働学習を部分的に導入した授業実践を中学校1年生を対象に,2学期から3学期にかけてすべての理科授業で実施した。授業実践の前後でアンケート調査を行い, S&Tにおける協働学習の部分的導入授業の効果に対し以下の結果を得た。(1) 生徒の役割に対する必要性が向上した。(2) 生徒の班への貢献度,参加度,発言度が向上した。これらの結果から,S&Tの協働学習の理科授業における部分的導入の有効性が示された。特に,生徒の班学習における自己の有用性への認識を向上させたことは. S&Tの協働学習を理科授業に導人することに関して,今後さらなる効果が期待できることを示唆している。