著者
高橋 佳吾 西本 卓也 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.61-66, 2003-12-21
参考文献数
8
被引用文献数
9 7

本報告では、多重音のモノラル音響信号の基本周波数を連続的な分布として出力する手法(Specmurt法)を提案する。多重音を構成する各音が共通した周波構造パターン(高調波成分間の強度比パターン)のスペクトルを持つ場合、対数周波数軸上では、これらの互いの関係は、同一の倍音パターン形状を平行移動した関係となる。これは、多重音の基本周波数の分布と共通調波構造パターンとの対数周波数軸上の畳み込みと解釈でき、基本周波数分布を人力、共通調波構造パターンをインパルス応答とした線形系の出力と考えることができる。共通調波構造パターンを仮定して、対数周波数領域に対するフーリエ領域で除算を用いて逆畳み込みを行えば、基本周波数を連続分布として求めることができる。その結果を濃淡表示すれば、スペクトログラムに似た基本周波数分布表示が得られる。実験を通して、基本的な理論を検証し、実際の音楽信号に適用し、効果を確認した。