著者
有村 兼彬 高橋 勝忠
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究においては形態論が統語論と意味論と接触する現象に取り組んだ。伝統的な統語論研究において、統語論は語レベルの中に入り込むことはできないとされてきたが、有村は英語におけるN-A形容詞を調査し、統語論研究で提唱された原理や原則が形態論のレベルにおいてもその効力を持つことを示した。一方、高橋は日本語におけるN+A複合語(e.g.油っぽい、男っぽい)と統語的要素を含む複合語(薬っぽい、嘘っぽい)が形態レベルにおいて違いを示すという事実(i.e.油っぽさ、*薬っぽさ)を指摘し、形態的緊密性は構造的・意味的に捉えることができることを示した。