- 著者
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近藤 昌和
安本 信哉
秋吉 佑樹
高橋 幸則
- 出版者
- 水産大学校
- 雑誌
- 水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.3, pp.87-101, 2013-02
魚類の好中球顆粒の種類は,多様であることが報告されている。著者らは前報において,ブリSeriola quinqueradiataの好中球の形態学的および細胞化学的特徴を調べ,ブリの好中球には好酸性(好エオシン性)顆粒(α顆粒),難染性顆粒(β顆粒)および好塩基性顆粒(γ顆粒)の3種類の顆粒が存在することを明らかにした。また,ブリのα顆粒は酸性条件下のMay-Grünwald(MG)染色によって橙色を呈するが,Giemsa染色では染まらず,MG-Giemsa(MGG)染色では染色性が低下すること,β顆粒にはアルカリ性フォスファターゼ(AlP)とペルオキシダーゼ(PO)が,γ顆粒にはα-ナフチルアセテートエステラーゼ(α-NAE)が検出されることを報告した。本研究では,魚類における好中球顆粒の多様性を明らかにするために,ブリと同様にアジ科に属し,水産増養殖対象となっているマアジTrachurus japonicus,カンパチS.dumeriliおよびヒラマサS.lalandiの好中球の形態学的および細胞化学的特性を明らかにし,これまでに報告した各種魚類と比較した。