著者
近藤 美緒 岩田 康弘 飯田 有輝 古閑 寛 高橋 徹至
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11091, (Released:2016-11-22)
参考文献数
38

【目的】本研究の目的は,軽症から中等症までのPD 患者のバランス障害の関連因子を検討すること。【方法】対象は修正版Hoehn&Yahr 重症度分類1 -3 のPD 患者32 名。評価項目はBerg Balance Scale(以下,BBS),MMSE,UPDRS 合計点,UPDRS part Ⅱ13–15,Ⅲ27–30(振戦,固縮,動作緩慢,軸症状),BMI,握力,等尺性膝伸展筋力,過去1 ヵ月転倒頻度,レボドパ一日換算量とし,重回帰分析にて検討した。【結果】重回帰分析の結果,BBS の得点と握力,UPDRS part Ⅲ–28(姿勢異常)との関連を認めた(R2 =0.30,p <0.05)。【結論】軽症から中等症までのPD のBBS には全身筋量を表す握力と姿勢異常の関与が示唆された。この結果は早期から予防的に運動介入することでPD のバランス障害を予防できる可能性があることを示しているのかもしれない。
著者
高橋 徹至 遠藤 乙音 古閑 寛
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.100-106, 2020 (Released:2020-03-25)
参考文献数
20

要旨:症例は75 歳,男性.X−1 年11 月,左上肢と両下肢の脱力を呈する脳梗塞で他院入院.退院後も症状再燃を繰り返した.クロピドグレル内服にて経過観察となるも両下肢脱力の進行を認めた.ビタミンB12 欠乏性多発神経炎の診断でビタミンB12 投与されたが症状進行.下肢遠位筋の筋力低下と深部腱反射消失,手袋靴下型の温痛覚障害を認め,女性化乳房,肝脾腫,下肢に色素沈着と浮腫を認めた.POEMS 症候群の疑いにてX 年9 月当院に精査入院.入院数日後に構音障害と左上下肢麻痺出現し,右中大脳動脈領域の梗塞と右中大脳動脈閉塞を認めた.血清VEGF 著明高値,神経伝導検査(以下,NCS)で脱髄および軸索障害の所見を認め,POEMS 症候群と診断した.本症例は当初主幹動脈狭窄を認めなかったが,POEMS 症候群の発症とともに閉塞に至った.POEMS 症候群とビタミンB12 欠乏,脳血管障害との関連を文献的考察含めて報告する.