著者
渡辺 慶一 高橋 文次郎 白戸 一士
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.835-840, 1990 (Released:2007-07-05)
参考文献数
19
被引用文献数
9 26

キウイフルーツ (A. deliciosa) の雄性品種‘マチュア’, 雌性品種‘アボット’, ‘ブルーノ’及びマタタビ(A. polygama), サルナシ(A. arguta) を用いて体細胞染色体, 減数分裂について観察調査を行った. キウイフルーツの3品種の体細胞染色体数は2n=174であり, マタタビの2種では2n=58, サルナシの4種では2n=58, 2n=116, 2n=ca. 174と算定された.これらの染色体数から, Actinidia においてはx=29が基本数であることが認められた.サルナシにおいては, 2仁を有する2n=58, 4仁を有する2n=116と仁数は不明確であったが2n=ca. 174の2x, 4x, 6xの倍数関係が示された. 本報のマタタビは2n=58の2倍性であったが, これまでに報告された2n=116の存在を考えると両者の間には, 2xと4xの同質倍数性関係があるのかもしれない. 本研究の2n=174のキウイフルーツの3品種‘マチュア’, ‘アボット’, 及び‘ブルーノ’は体細胞核に6仁または小胞子核で3仁を有し, いずれも基本数x=29の6倍性を示している.
著者
井上 弘明 高橋 文次郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.487-501, 1990
被引用文献数
11

1980~&prime;88年にわたり, 静岡県沼津市西浦久連の山田寿太郎氏園に栽培されている&lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;およびFuerte&prime;を用いて, 結実習性や収量構成要因について調査した.<br>1. 果実は3品種とも6月下旬から8月中旬にかけて急速に肥大し, その後は8月中旬よりゆるやかとなるS字型生長曲線を示した. 種子の生長は6~10月までみられ, 11月以降は緩慢となった.<br>2. 落花(果)には3品種ともに二つの波相がみられた. 第1次波は大部分が花で落下し, 5月上旬から6月上旬まで, 第2次波は幼果で落下し, 5月下旬から7月下旬であった. 花に比べて幼果の落下数は少なかった.<br>3. 枝の伸長は1番枝, 2番枝ともに5月中旬から急速に行われ, 6月下旬以降は緩慢となった.<br>4. 落葉波相には二つの山がみられ, 第1次波は5月中旬から6月中旬に, 第2次波は8月中旬から9月下旬であった.<br>5. 花房は無限花序と有限花序に分かれ, その比率は&lsquo;Zutano&rsquo;では無限花序が高く, &lsquo;Bacon&rsquo;や&lsquo;Fuerte&rsquo;では隔年または2年ごとにそれらが交互に変化した.<br>6. 結果部位を8型に分類した. 3品種とも発育枝に生ずる枝と着花枝に生ずる枝は, 隔年ごとに交互に入れ代わって結実を繰り返した. 枝の種類では夏枝や1番枝の結実分布比率が高く, 結果母枝では頂芽や第2節の比率が高かった.<br>7. 全開花数に対する結実比率は0.038%以下であったが, &lsquo;Fuerte&rsquo;, &lsquo;Zutano&rsquo;, &lsquo;Bacon&rsquo;の順に高かった. 収量は隔年ごとに異なり, とくに, 低温の年は結実数および収量が少なく, 果実も小さかった.<br>8. 花芽は1~2月の最低気温(-2.5&deg;~-3.5&deg;C)の遭遇時間が長くなるほど枯死するものが多かった.<br>9. わが国のアボカド栽培の障害は, 厳寒期の最低気温と開花時の低温であり, その対策としては栽培地の選択, 耐寒性品種と台木の選抜&bull;育成が重要と考えられる.