著者
高橋 昭子 小口 高 杉盛 啓明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.800-818, 2003-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43
被引用文献数
8 6

多摩丘陵と隣接する低山を対象に解像度10mのDEMを作成し,DEMの解像度とDEMから計算される地形量との関係を調べた.DEMの解像度が低下すると算出される傾斜が減少し,縦断曲率はゼロに収束する.傾斜の減少量は既存の事例よりも概して大きく,複雑な地形を持つ日本の丘陵地や低山の地形解析には高解像度のDEMが必要なことを示している.次に,50-m DEMの補間によって得られた10-m DEMの地形表現力を検討した.補間の誤差が最小であった手法は,薄板スプライン関数を用いた動径基底関数法,最小曲率法,平滑化を行わない修正シェパード法であり,クリギング法も実際のバリオグラムに対応した関数を用いた場合には有効であった.補間によって解像度を高めたDEMでは傾斜の表現力が向上しているが,縦断曲率の表現は不十分である.調査地域の一部では,過去数十年間に大規模な人工地形改変が行われたが,上記した補間の誤差に関する検討結果は,地形改変の程度には基本的に依存しない.