著者
小林 啓子 高橋 美子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.176-179, 1971-09-20

1)一般家庭で調理した食物を凍結貯蔵する際,風味は調理してから凍結貯蔵した方がよいのか,生品を凍結貯蔵した方がよいのか,ブリのゆうあん焼,カレイの煮付け・タラのフライ,サバの立田揚の4種類を試料として嗜好調査と衛生試験を行った。2)ブリのゆうあん焼き:ブリの生肉を冷結貯蔵後解凍した調理した試料と、調理後凍結貯蔵し室温で解凍した試料では,嗜好上の優劣は認められなかった。両試料とも,凍結後の生菌数は1g当り×10^2,PH5.82,NH_3-N量は28〜29mg%であった。3)カレイの煮付け:カレイの生肉を凍結貯蔵後解凍した煮付けた試料Aと煮付け後涼繕貯蔵し室温で解凍した試料Bでは,嗜好上の優劣は認められなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数x10^3,PH6.59,NH_3-N22.5mg%。試料Bは生菌数×10^3,PH6.51,NH_3-N24.5mg%であった。4)冷凍タラのフライ:タラをフライして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Aが最も好まれ,次いで生で凍結後フライした試料B,フライして凍結後解凍した試料は最も好まれなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^3, (×10^2), PH6.70, (6.95),NH_3-N23.4,(20.1)mg%。試料Bは生菌数×10^2(×10^2),PH6.70(7.02),NH_3-N22.0(19.1)mg%であった。5)サバの立田揚げ:サバの生肉を凍結貯蔵後,立田揚げとした試料Aが最も好まれ,次いで立田揚げとして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Bが好まれ,最も好まれなかったのは,立田揚げにして凍結後解凍した試料であった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^2(×10^2),PH6.01(5.86),NH_3-N21.9 (29.1)mg。試料Bは生菌数×10^2(×10^3),PH5.95(5.74),NH_3-N25.9(12.3)mg%であった。6)以上の試料について,測定した生菌数,PH,NH_3-N値によれば,いずれの場合も食品衛生上問題ないものと思われる。