著者
手塚 悦子 西村 修 小林 啓子 大森 正司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.297, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】東南アジアでは、バナナの葉は食品の包装や保存等へ用いられ、生活の場面で有効に用いられている。ここでは、大量に廃棄されているバナナの葉をバイオマスの一環として捉え、その有効利用や食品の保存という観点からバナナの葉に含まれている抗菌性物質に着目し、その分離、同定と有効性を明らかとしたので報告する。 【方法】(1)試料は、フィリピン産の乾燥バナナの葉(Musa acuminata)3kgを用いて粉砕後、沸騰水中で抽出、ろ過したものを試料液として以下の実験に供した。(2)バナナの葉の香気成分(SPME法)、有機酸およびアミノ酸(HPLC法)、抗酸化性(DPPHラジカル補足活性)を測定した。(3)抗菌性試験では、試料液をヘキサンで脱脂後、酢酸エチル分画し、ペーパーディスク法により、Escherichia coli K12 Staphylococcus aureusNBRC 14462による抗菌活性を検討した。(4)(3)で得られた酢酸エチル分画液を用い、TLC、シリカゲルカラムクロマトグラフィ、による分離を検討し、GCMS、HPLC、NMRにより同定と確認を試みた。 【結果】(1)バナナの葉の香気成分は、6-Methyl–5-Hepten-2-one等が多く、有機酸は、シュウ酸、リンゴ酸等が見出された。(2)バナナの葉抽出液のpHを異にして抗菌活性を検討したところ、抗菌性物質は、柳田らの報告しているように酸性で酢酸エチルに転溶することを確認した。(3)GCMS、HPLC、NMRにより酸性物質の同定を試みたところ、ケイヒ酸と安息香酸であることを確認した。(4)15種の菌株について抗菌性を測定したところ、グラム陽性菌株に対して、より大きい抗菌性を示していることがわかった。
著者
小林 啓子 高橋 美子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.176-179, 1971-09-20

1)一般家庭で調理した食物を凍結貯蔵する際,風味は調理してから凍結貯蔵した方がよいのか,生品を凍結貯蔵した方がよいのか,ブリのゆうあん焼,カレイの煮付け・タラのフライ,サバの立田揚の4種類を試料として嗜好調査と衛生試験を行った。2)ブリのゆうあん焼き:ブリの生肉を冷結貯蔵後解凍した調理した試料と、調理後凍結貯蔵し室温で解凍した試料では,嗜好上の優劣は認められなかった。両試料とも,凍結後の生菌数は1g当り×10^2,PH5.82,NH_3-N量は28〜29mg%であった。3)カレイの煮付け:カレイの生肉を凍結貯蔵後解凍した煮付けた試料Aと煮付け後涼繕貯蔵し室温で解凍した試料Bでは,嗜好上の優劣は認められなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数x10^3,PH6.59,NH_3-N22.5mg%。試料Bは生菌数×10^3,PH6.51,NH_3-N24.5mg%であった。4)冷凍タラのフライ:タラをフライして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Aが最も好まれ,次いで生で凍結後フライした試料B,フライして凍結後解凍した試料は最も好まれなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^3, (×10^2), PH6.70, (6.95),NH_3-N23.4,(20.1)mg%。試料Bは生菌数×10^2(×10^2),PH6.70(7.02),NH_3-N22.0(19.1)mg%であった。5)サバの立田揚げ:サバの生肉を凍結貯蔵後,立田揚げとした試料Aが最も好まれ,次いで立田揚げとして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Bが好まれ,最も好まれなかったのは,立田揚げにして凍結後解凍した試料であった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^2(×10^2),PH6.01(5.86),NH_3-N21.9 (29.1)mg。試料Bは生菌数×10^2(×10^3),PH5.95(5.74),NH_3-N25.9(12.3)mg%であった。6)以上の試料について,測定した生菌数,PH,NH_3-N値によれば,いずれの場合も食品衛生上問題ないものと思われる。