著者
宮田 一乘 高橋 誠史 黒田 篤
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.13-19, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
34

PCのグラフィックボード(GPU)の果たす役割は年々加速しており,CPU中心の計算環境からGPU中心の計算環境へと徐々に移行している.また,GPUの持つ機能をプログラムで利用できる環境が整ったことにより,GPUをグラフィック処理専用のCPUの補助プロセッサとしてではなく,並列計算機として応用する研究が活発化している.本論文では,GPUコンピューティングで何が可能となり,今後どのような発展が期待できるかを,具体的な例を挙げながら述べる.
著者
河原塚有希彦 高橋誠史 宮田一乗
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 : ヒューマンインタフェース研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2003, no.111, pp.45-51, 2003-11

本報告では、画像処理による位置検出技術を用いた新たな画像提示の環境、“ViewFrame”システムを提案する。本手法は、「窓越し現実感」というコンセプトの下に、窓の代わりに設置したディスプレイ上に、ユーザの視点移動に伴い変化する窓越しに見える景色をシミュレーションして提示するものである。本システムはリアルタイム性が強く求められるために、グラフィックボードのピクセルシェーダ機能を用いて、ハードウェアによる画像処理の高速処理を行った。本システムにより、自然なインタラクションで景観の奥行き知覚や3次元物体の形状認識が容易になる。また、本システムの実装例として「借景」を制作したのであわせて報告する。 : An interactive image viewer, “ViewFrame”, by means of image-based position sensitive detector is proposed. In this paper, the new concept, “window-though reality”, is introduced. A window in a room is replaced with a LCD or another flat screen, and this system displays a view-depended CGI scenery that would be seen from an observer. This system is required to react to user’s action in real time; therefore the image processing is implemented by means of pixel-shader functions for GPU to accelerate the process. This system makes it possible to recognize the depth of image and three-dimensional shapes easily by natural man-machine interaction. An application of this system, “ Shakkei”, is also reported.
著者
高橋 誠史 河原塚 有希彦 桑村 宏幸 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.200-204, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本論文では,ジェスチャ認識と映像提示および,簡易なモーションベースの組み合わせによるVRアプリケーションを提案する.我々は,映像の中を泳ぐ感覚を視覚的に提供するアプリケーション⌈UoQ⌋を既に開発したが,泳ぐ腕の動作に伴う身体の姿勢制御を行うことで,さらなる没入感の追及を試みた.提案するVRアプリケーションでは,腕の動きを画像解析し,解析された動きにあわせて,表示される映像コンテンツを演出すると同時に,モーションベースの姿勢制御を行うことで映像の中を泳ぐような感覚を提供する.モーションベースの姿勢制御には,エアブロワによる空気吐出を応用している.実験の結果,腕の動きに合わせて映像の速度や身体の揺れを演出したことに対して,没入感と浮遊感が得られるとの評価を受けた.
著者
新庄 貞昭 高橋 誠史 木村 秀敬 白井 暁彦 宮田 一乗
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.167-178, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
42

本解説では,グラフィックプロセッサ(GPU)を取り巻く環境やその利用法,開発環境の現状,およびGPUのコンピュータビジョンへの適用事例を紹介し,GPUコンピューティングの可能性を探る.GPUはプログラマブルシェーダの導入後,シェーダのバージョンアップにあわせてスペックの向上が行われてきた.またCPUと比較して制約は多いが,プログラミングを工夫することにより速度向上が可能である.GPUは幅広く利用されているが,特筆すべき適用事例としてコンピュータビジョン,物理シミュレーションがあり,汎用計算においては分散コンピューティングによるナノテクへの応用も報告されている.本解説では,GPUに加えて最近のCPUアーキテクチャの革新であるマルチコアプロセッサCPUについても触れるとともに,最新OSのひとつであるWindows Vistaでのグラフィックユーザインタフェースへの利用にも触れ,今後の応用の可能性を探る.
著者
薮 博史 鎌田 洋輔 高橋 誠史 河原塚 有希彦 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.36-46, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本論文では,変位情報を用いて制作したVRアプリケーションとして,紙相撲をテーマとした対戦型の実装例を2件提案する.はじめに,プレイヤの跳ぶ行為を入力データとし,ディスプレイ上に表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.つづいて,このシステムに対する評価実験の結果を反映させ,プレイヤが水を揺らす行為を入力データとし,水に浮かぶスクリーンに表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.両システムとも,距離を測るセンサを用いて,プレイヤが入力装置に与える動作を変位情報として取得し,システム内のインタラクション処理に利用している. この直感的かつ堅牢なインタラクションモデルを用いることで,新たな体感型VRアプリケーションを実現することができた.
著者
河原塚 有希彦 高橋 誠史 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.189-192, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

本作品“ViewFrame2”(以下VF2)では,画像処理による位置検出技術を用いた新たなコンテンツ鑑賞スタイルを提案する.VF2は,「窓越し現実感」というコンセプトに基づき,窓の代わりに設置したディスプレイ上に,ユーザの視点移動に伴い変化する景色をシミュレーションして提示するものである.VF2の実装システムではリアルタイム性が強く求められるために,グラフィックボードのピクセルシェーダ機能を用いて,ハードウェアによる画像処理の高速化を試みた.実装の結果,身体移動に伴う自然なインタラクションで,景観の奥行き知覚や3次元物体の形状認識が容易になることが体感できた.
著者
高橋 誠史 河原塚 有希彦 桑村 宏幸 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.123-127, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

ただ歩きながら目にする風景の移り変わりを, 泳ぐという行為で置き換えてみたらどうなるのだろうか.本論文では, そのような身体運動に伴うさまざまな視覚体験を, コンピュータを用いて置換する試みを提案する.両腕に装着された反射板で参照光を反射し,その反射光を天井から吊るされたCCD カメラで観測する.次に, 観測された反射光を画像処理して腕の動きを計算し, その動きの変化にあわせて, 投影されるビデオの再生速度を制御し, 動画の中を泳いでいるような感覚を体験させる.日常的な光景を撮影した映像を泳ぎという動作を通して体験することにより, 無意識のうちに我々の行動に影響を与えている重力や, 身体そのものについて考えるきっかけを与える場を, この作品は提供する.