著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スペクテーター・スポーツの魅力を権力作用の観点から検討した。(1)女子プロ野球の観客を対象とした質問紙調査を実施したところ、選手との交流が満足度を規定していた。またゲームやそれに伴う儀礼的行為において、「球児の直向きさ」と「かわいさ」が演出されていた。(2)プロバスケットボールリーグの観戦者を対象とした質問紙調査を実施したところ、チームへ投影する地元意識が満足度を強く規定していた。(3)新聞を資料として、プロ野球のイーグルス優勝の物語について検討したところ、優勝というスポーツの出来事を被災という実生活に関連づけた物語が紡がれており、それは生活世界を受容可能にする概念装置であることが示唆された。
著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

プロ野球のスタジアムの空間が、如何にして統制・管理されているのかを検討した。1980年代に一般化した集合的応援行動は、自発的結社である私設応援団が一般の観客を統制する形で行われ、一般客の逸脱行為を防ぐという側面があった。日本野球機構は警察庁と連携して、2003年に「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を立ち上げ、2006年からは私設応援団を許可制とした。球団や球場が黙認していた私設応援団に対して日本野球機構が正式に市民権を与えたというこの一連の動きは、私設応援団が囲い込まれる過程として捉えることができる。2008年にある私設応援団が起こした訴訟「応援妨害予防等請求事件」は、スポーツの市場メカニズムへの抵抗が、スポーツ観戦に基づく人々のネットワークによって形成されたことを示している。