著者
高瀬 国雄 天野 允 山下 進
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, 1979-06-15

現在, 一般に行われている耐震設計法は静的計算法である震度法によるものである。しかし実際の地震動は動的現象と考えられる。このため, 震度法に代わる動的設計法を見出すために, 新潟地震を対象として, アースダムの地震時の振動性状, 及び土の基本的性質や基礎地盤との関連について考察されている。今回の地震による堤体の被害はクラック, すべり, はらみ, 不同沈下, 付属構造物の被害などである。その内クラックが最も多く発生する場所としては, 堤頂と上流側斜面に多く, 原因としては, すべり破壊による引張りクラックが多いことが述べられている。またすべり・はらみの被害はクラックに次いで多く発生し, 発生場所は上流側斜面に多い。また付属構造物は斜樋・底樋に関する被害が多く発生している不同沈下はほとんどすべりによるものである。被害の受ける状況は, 地質的には, 沖積層, 洪積層などの第四紀層状のものが多く, 堤高が高くなるほど被害率が大きくなり, 水位が高くなると被害率も高くなっている。また完工後10年位までのもの, 改修歴のあるダムは被害率が高いことが述べられている。また上流側斜面勾配がゆるやかで, 下流側斜面勾配が急な断面タイプは被害率が最も小さく, また震度3以下では被害はほとんどない。決壊も数例みられ, これは横クラック, または付属構造物からの漏水による二次的破壊であることが述べられている。
著者
高瀬 国雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 = Journal of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.591-594, 2007-07-01
参考文献数
10

東西冷戦終了後, アフリカ諸国の要請によって, 日本政府が主催した「東京アフリカ開発会議(TICAD)」は, 1993年から5年おきに開かれてきたが, アフリカ開発は遅々として進まない。その理由としては, アフリカ政府の主体性と協調性の低さ, 国際機関やドナーの援助方針のまずさ, 市民社会の軽視などが考えられる。しかしその基本には, アフリカ人口の7割以上の住む農村開発戦略の不在が, 大きく影響している。1960年代にアジアで成功した「緑の革命」の経験を, 自然・文化条件の異なるアフリカの食料・貧困の撲滅に活用するには「虹色の革新」が最適であろう。<BR>2008年に日本で開催されるTICADIVとG-8を目標として, 日本政府, 市民社会, 民間企業のより積極的な協力が切に望まれる。