著者
遠藤 正浩 高田 佳木 高月 清宣 吉村 雅裕 坪田 紀明 指方 輝正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.191-195, 1999-04-20
被引用文献数
1

極めてまれな縦隔原発の平滑筋肉腫を経験したので,画像所見を中心に報告する.症例は69歳の女性で,労作時呼吸困難と胸部異常陰影を主訴に来院した.胸部X線写真で縦隔影の拡大と右胸水が指摘された.CTとMRIでは,中から後縦隔に中央部がくびれた雪だるま状の圧排性進展の腫瘍を認め,腫瘍内部は不規則に造影され,間葉系の悪性腫瘍,特に悪性神経鞘腫や平滑筋肉腫などを疑った.画像上圧排性発育が主体で,全摘除の可能性が高いこと,さらに呼吸困難が急速に進行しているなどの理由から手術を施行した.腫瘍はほぼ完全に摘出でき,術後は患者の呼吸器症状は完全に消失した.病理学的には,免疫組織化学や電顕的観察の結果より平滑筋肉腫と診断した.
著者
加堂 哲治 小谷 義一 船田 泰弘 植田 史朗 大林 加代子 高田 佳木
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.295-300, 2003-08-20

目的.肺がん患者の病名告知に対する意識の,最近の5年間の変化を知ることを目的とした.方法.1996年と2001年の初診時病名告知アンケート調査の比較検討を行った.1996年および2001年に兵庫県立成人病センター呼吸器科に初診受診し,肺がんの確定診断のついた患者のうちアンケートに回答した1996年176名(回答率71.3%),2001年246名(回答率89.5%)を対象とした.結果.全体的には,病状や治療法の説明を詳細に受けたい患者は,1996年は46.0%が2001年には69.5%へ増加し,本当の病名を知りたい患者は65.9%から91.1%へ有意に増加した.またこれまで告知率が低いとされていた高齢患者や進行期の患者においても,同様の増加を認めた.結論.我々のアンケート調査から,この5年間で病名告知など真実を知りたいと希望する肺がん患者が確実に増加してきたことが明らかとなった.(肺癌.2003;43:295-300)