著者
高田 由利子 石黒 千晶 岡田 猛
出版者
日本音楽知覚認知学会
雑誌
音楽知覚認知研究 (ISSN:1342856X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.21-28, 2019 (Released:2020-06-06)
参考文献数
17

演奏者は作曲家の意図や演奏者自らの意図や,聴衆への伝わりやすさなどを省察しながら練習を重ねる。本研究の目的は,音大生のような学習者の表現の自覚性を測定する心理尺度を開発することである。音楽教育家と心理学者が共同して,演奏表現の特徴を踏まえた演奏表現の自覚性尺度を作成し,音楽学科に所属する 180名の大学生を対象に質問紙を実施した。その結果,演奏表現の自覚性尺度は聴衆への伝達性,演奏者の表現意図と表現方法の調和性,楽譜への忠実性という 3因子からなることが示された。また,各因子に十分な信頼性が確認された(αs>.70)。この尺度は音楽演奏の学習過程を理解する上で役立つ。