著者
高田 雄三 的場 洋平 浅川 満彦
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.163-175, 2007 (Released:2017-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
1

輸送技術の発展や生活の豊かさの向上などから移入し野生化した生物, すなわち移入種が近年問題となっている. 移入種による経済被害や生態系の撹乱, 感染症媒介による健康被害への懸念が深刻化するなか, 全国レベルでの移入種問題に対する調査と対策が進められている. その一環としてアライグマのDNA分析による捕獲個体調査が実施されている. 現在まで12道府県で約4,000個体のサンプルからミトコンドリアDNA多型を決定し, 母系の動態調査を行ってきた. さらに, 移入種の起源や詳細な動態調査を行うためMHC遺伝子分析より得られた結果は, 遺伝的多様性, 個体群の遺伝的独立性や遺伝子流動の評価を可能とした. このことはMHCがアライグマの捕獲駆除や遺伝的保全, 生態系保全において有効利用できるアイテムであるといえる. 「はじめに」輸送技術の発展や生活の豊かさの向上などから, 生物の国内外への移動が活発化している. 生物は自己の能力を超えて本来生息していなかった地域へ生物の意志に関わらず人為的に導入されている.