著者
高田 響子 本間 友巳
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.9, pp.135-144, 2009-03

本研究の目的は,児童福祉施設における心理職と福祉職がそれぞれの立場と専門的支援をどのように認識しているのかを明らかにし,比較検討することにある。そのため,児童福祉施設の心理職・福祉職を対象に,施設における役割と現状への認識について,半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果,心理職の役割認識として「個別的心理支援」,現状認識として「心理職の未確立」が,福祉職の役割認識として「包括的生活支援」,現状認識として「専門的アイデンティティの末確立と模索」というコア・カテゴリーが生成された。また、心理職・福祉職共に、相互理解のもとでそれぞれの専門性を活かしたより質の高い連携の重要性を認識していることが明らかになった。両者の連携が上手く機能していくための具体的な条件は何かを探っていくことが今後の課題である。