著者
藤岡 秀樹
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.183-192, 2010-03

最初に,学校心理学の特徴について, ①隣接領域との異同, ②3つの援助サービス, ③4つの援助領域-の3点を論じた。次に,心理教育的援助サービスの技法とチーム援助について具体例を挙げて紹介した。そして,予防的・開発的教育相談及び予防的・開発的生徒指導について,各々治療的教育相談と治療的生徒指導と対比させて論じた。最後に,最近の文部科学省の教育相談や生徒指導の取り組みを紹介しながら,学校心理士と臨床心理士とスクールソーシャルワーカーとの協働・連携について考察した。
著者
藤岡 秀樹
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.7, pp.79-84, 2007-03
被引用文献数
1

最初に,1999年に改訂された高等学校学習指導要領に新設された教科「福祉」の創設経緯とカリキュラムの内容について紹介した。次に,教科「福祉」と「総合的な学習の時間」の福祉領域の現状や特徴を紹介し,課題について論じ,併せて教科「福祉」と「総合的な学習の時間」の福祉領域の関連性についても論じた。最後に,福祉教育の課題についても考察した。
著者
澁谷 真二 今野 和夫 SHIBUYA Shinji KONNO Kazuo
出版者
秋田大学教育文化学部総合教育実践センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
no.28, pp.53-62, 2006-04-01

友達関係は人生においてなくてはならないものだが,障害のある人にとっては,ノーマライゼーションの実現ということにおいて障害のない人との友達関係も欠かせない.この重要なテーマについての試行的・探索的な本研究では,作業所に福祉就労する知的障害者(41名,うち31名が20歳台)の保護者に対して質問紙調査を実施した.その結果,彼らには友達が少なく,特に障害のない友達をもっている人は僅少であること,保護者たちは子どもが就学前や学童期の頃は障害のない友達ができるようにといろいろ取り組んでいることが示唆された.また現在,程度に強弱はあるが,半数を明らかに上回る保護者(6割強)が,子どもに障害のない友達がいればよいと思い,一方でその実現を容易でないと考えていることが示された. さらに本研究では,筆者の一人(渋谷)が友達関係を深めてきている知的障害(ダウン症候群)の青年の母親に面接し,母親が友達関係の大切さを認識し,障害の有無を問わず友達ができるようにと青年の幼い頃から何かと配慮と行動を重ねてきていることが確認できた. 以上の結果を踏まえ,友達関係の構築に向けた支援のあり方について,また研究上の課題について言及した.
著者
平石 隆敏
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.7, pp.85-94, 2007-03

教員免許必修科目である「総合演習」において、筆者は2003年度、2004年度、そして2006年度と「NIE入門講座」を内容とした授業をおこなってきた。大学での座学にとどまらず、NIE実践を体感してもらう目的で、2006年度は附属桃山中学校でのNIE授業「ハロー・ニュースペーパー」への参加を授業の一部に取り入れようと試みた。時間割の都合で参加できた学生は少数であったが、中学生と大学生との三回のコラボレーション授業の試みにより多くの成果をえることができた。
著者
吉利 宗久 吉海 真澄
出版者
京都教育大学
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.101-109, 2006-03-31

小学校校長の特別支援教育に対する取り組みの実態を明らかにするために,A市内における質問紙調査を実施した(回収数62校)。その結果,多くの校長が特別支援教育の理念を支持する一方で,学校の準備状況や自らの知識に不安を抱いていた。また,特別支援教育を推進するために重視する学校経営の方針として,保護者との連携や校内体制の整備が高い割合を示した。そして,ほとんどの学校が校内研修を実施しており,その内容は障害理解と児童の実態把握が中心となっていた。ただし,盲・聾・養護学校との連携や,保護者への働きかけは今後の課題となっており,専門性の高い教員を配置し,個別の教育支援計画の作成などの具体的な取り組みを進めることが必要であると考えられていた。
著者
山本 玲子
出版者
京都教育大学
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-89, 2006-03-31

現在,小学校への英語教育の導入に関しては全国で賛否両論あり,またそのあり方も議論の途上である。京都教育大学附属京都小学校では,全学年において,週1回の担任とALTによる英語授業を実施している。また附属京都中学校と小中一貫教育をすすめる中で小5・小6・中1を中等部と位置づけ,小・中の教諭が連携してカリキュラムの開発・充実に当たっている。今年度より,中学の英語科教員が小5・小6の英語を担当するにあたり,小1から英語に接してきた子どもたちの内面を分析するとともに,学習初期の生徒が第二言語を習得する過程に照らし合わせ,特に子どもの心理面・モチベーションに焦点を当てて考察した。また,公立小・中学校でも徐々に実施されつつある中学校教員が小学校へ出向する形の小中連携についても,附属のケーススタディを基に考察を試みた。
著者
高田 響子 本間 友巳
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.9, pp.135-144, 2009-03

本研究の目的は,児童福祉施設における心理職と福祉職がそれぞれの立場と専門的支援をどのように認識しているのかを明らかにし,比較検討することにある。そのため,児童福祉施設の心理職・福祉職を対象に,施設における役割と現状への認識について,半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果,心理職の役割認識として「個別的心理支援」,現状認識として「心理職の未確立」が,福祉職の役割認識として「包括的生活支援」,現状認識として「専門的アイデンティティの末確立と模索」というコア・カテゴリーが生成された。また、心理職・福祉職共に、相互理解のもとでそれぞれの専門性を活かしたより質の高い連携の重要性を認識していることが明らかになった。両者の連携が上手く機能していくための具体的な条件は何かを探っていくことが今後の課題である。