著者
高野 美香 鈴木 英子 髙山 裕子
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-36, 2016-09-30 (Released:2017-09-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

【目的】大学病院に勤務する新卒看護師のバ-ンアウトの関連要因を職場環境の視点から明らかにする。【方法】東京23 区および政令指定都市にある350 床以上の8 病院に勤務する新卒看護師508 人を対象とし,2012 年9 月,個人属性,労働環境,組織風土,職場の教育支援およびMBI-HSS(日本版バ-ンアウト尺度)から構成された自記式質問紙調査を用いて横断研究を実施した。【結果】回収数は364 人(回収率71.7%),有効回答は 317 人(有効回答率87.0%),バ-ンアウトの総合得点の平均は,12.4 点だった。バ-ンアウト総合得点を目的変数として,重回帰分析をおこなった結果,自由度調整済み決定係数(R²)は,0.318 で,32%の説明率があった。重回帰分析で,最終的に有意になった要因は,個人属性では,勤務先の職場での看護実習の経験があるもの,労働環境では,2 交替制勤務のもの,看護記録の量が少ないと感じているもの,仕事内容に関する満足度が高いものはバ-ンアウトが低かった。また,何か問題が生じたらすぐに話し合いをする組織風土で働いているもの,職場の教育支援として,プリセプタ-シップを支えてくれる教育担当者がいるもの,初めてのケアや処置に先輩が同行してくれるもの,看護実践の具体的な支援を受けているものは,バ-ンアウトが低かった。【結論】新卒看護師は,勤務先の職場での看護実習の経験があるとバーンアウトしにくい。職場環境においては,話し合いができるような組織風土のなかで,看護記録の負担が少なく,仕事に対する満足度が高いと,バ-ンアウトが低減できるといえる。また,職場の教育支援においては,プリセプタ-シップを支えてくれる教育担当者に満足をしていて,初めてのケアや処置には先輩が同行し,看護実践の具体的な指導があると,バ-ンアウトが低減できるといえる。
著者
高野 美香 西村 正幸 林 紀孝 利谷 昭治 曽爾 彊 久野 修資
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.276-280, 1992

症例は40歳の福岡県出身の主婦で初診の1年前, 躯幹に紅色丘疹を生じ, 2ヵ月前より同様の皮疹が全身に播種状に認められるようになった。組織学的に真皮上層から中層に異型性のあるリンパ球様細胞の浸潤がみられ, 表皮内にも異常リンパ球が認められた。浸潤細胞の大半はT cellの表面マーカーを有し, cutaneous T cell lymphomaと診断した。初診の2年後, 全身倦怠感と著しい皮疹の増悪, 表在リンパ節腫脹とともに末梢血に異常リンパ球13%を認めるようになった。化学療法(VEPAMなど)を開始したが効果なく, 初診後3年半(白血化してから1年半)の経過で死亡した。