- 著者
-
髙垣 謙二
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.124, no.9, pp.1739-1744, 2014-08-20 (Released:2014-08-22)
- 参考文献数
- 22
日本紅斑熱とつつが虫病は,わが国に常在する代表的なリケッチア症であり,ダニに吸着された後,一定の潜伏期を経て,突然の発熱,悪寒戦慄,頭痛などで発症する.「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では,ともに四類感染症全数把握の疾患として分類されている.発熱後数日以内に無症候性紅斑を生じるが,つつが虫病の発疹では躯幹に多い傾向があり,日本紅斑熱では四肢末梢に多く,出血斑を伴いやすい.いずれも,刺し口は認められるが日本紅斑熱のそれは小さい.早期に治療を開始すると良く反応することが知られているが,いずれの疾患も確定診断が手軽で確実にできるとはいえない状況である.臨床医は,発疹を有する熱性疾患の一つにリケッチア症もあるということを常に念頭において診療をし,疑い症例の確定診断のための手順と治療方法や,治療開始のタイミングをあらかじめ承知しておくことが大切である.