著者
髙山 みさき 大西 英雄 城本 修
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.253-259, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
18

われわれはfunctional Magnetic Resonance Imaging(fMRI)を用いて,平仮名および片仮名の読字処理ルートと,表記妥当性が音読に及ぼす影響について検討した.健常成人29名に対して,平仮名もしくは片仮名で表記した表記妥当性が高い単語および表記妥当性の低い単語の音読課題を実施した.片仮名高妥当性課題は左右眼窩野,左紡錘状回,左中後頭回,左鳥距溝に,低妥当性課題は左中前頭回,左紡錘状回,左角回,右上前頭回,右上内側前頭回に活動を認めた.平仮名高妥当性課題では,左中眼窩野,左右中側頭回,左角回,左右中後頭回,右前方帯状回に,低妥当性課題は左中眼窩野,左紡錘状回に賦活を認めた.平仮名,片仮名はともに背側経路で処理され,読字処理に関与する脳部位は共通することが示された.さらに,表記妥当性は視覚的な認知や情報の統合に影響を与え,妥当性が低いほど処理負荷が強いことが示唆された.
著者
髙山 みさき 大西 英雄 城本 修
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.135-140, 2018

<p>fMRIを用いて仮名文字の書字における脳賦活部位および,平仮名と片仮名の書字における脳活動の差異を検討した.健常成人14名(24.4±7.0歳)が研究に参加し,提示された絵の単語名称を書く書称課題と,音声提示される単語を書き取る書き取り課題を平仮名,片仮名について実施した.左半球における結果を示す.書称課題では,平仮名は,中前頭回,中側頭回,角回,縁上回等に,片仮名は角回,縁上回等に賦活を認めた.書き取り課題では,平仮名は内側前頭回,中後頭回に,片仮名は上前頭回,上・中後頭回等に活動を認めた.本研究の結果,平仮名および片仮名の書字に関与する脳部位はおおむね共通しており,音韻経路で処理されることが示唆された.また,書称課題では,絵の名称を想起し書字を行う際に文字への変換を行うため,側頭-頭頂領域の賦活が強く認められ,書き取り課題では,聴取した単語のイメージ想起を行うことにより視覚連合野が活動すると考えられる.</p>
著者
髙山 みさき 大西 英雄 城本 修 村中 博幸
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.143-151, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
17
被引用文献数
1

平仮名と片仮名の文字刺激処理における脳活動に差があるか,fMRI(functional magnetic resonance imaging)を用いて検討した.健常成人17名(平均年齢21.4±0.5歳)を対象に,平仮名または片仮名で表記した高親密度単語および低親密度単語の音読を行い,課題遂行時の脳賦活部位と脳賦活量を評価した.両課題に共通して,両側上前頭回,両側内側前頭回,両側中側頭回,左紡錘状回,左角回,左帯状回の賦活を認め,平仮名課題では,両側下側頭回,両側楔前部,左後方帯状回に,片仮名課題では,両側下前頭回,左下側頭回,右中心後回,左前方帯状回に賦活が観察された.脳賦活量は平仮名が片仮名を上回り,高親密度課題で13.1倍,低親密度課題で2.7倍を示した.平仮名および片仮名の音読時における脳活動は共通する点が多く,二重神経回路仮説における背側経路を介して処理されるが,文字刺激処理における処理負荷は平仮名のほうが強いと示唆された.