著者
松原 彩 髙木 明 木谷 芳晴 山下 勝 鳥居 紘子 倉田 馨介 音成 恵梨子
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.1183-1190, 2020-09-20 (Released:2020-10-01)
参考文献数
13

オージオグラムで感音難聴の像を呈する6耳の耳小骨固着病変 (アブミ骨底を除く) に対して固着解除術を行い, 良好な気骨導改善を認めたので報告する. 6耳の術前気骨導差は平均で 7.8dB と小さく聴力検査上, 感音難聴と診断される症例だったが, 気密耳鏡で耳小骨固着が示唆され, 耳小骨筋反射, 高分解能側頭骨 CT で耳小骨固着症と診断, 固着解除術を施行した. 固着はツチ骨頭固着4耳と, キヌタ骨体部固着2耳だった. これらの術後の聴力改善は, 6症例平均で気導 18.6dB, 骨導 15.3dB だった. 耳小骨固着症例の中には, 見かけ上感音難聴の聴力像を呈する症例があり, 固着解除により大幅な聴力改善を示す症例があることを報告する.
著者
髙木 明
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.219-224, 2019

<p>先天性重度難聴に対する人工内耳の手術年齢は日本では2014年より1歳以上とされているが世界的にはますます低年齢化が進んでいる。低年齢化は生後の脳の発達の見地から望ましいものの円滑な音声言語獲得には術後の母子への適切な介入が必須である。欧米では乳幼児難聴の専門職(Audiologist)が保護者への指導,児への介入を実施し,特に豪州では就学までの適切な介入により大多数が通常校への進学が可能となっている。我が国おいては乳幼児難聴に適切に対応できる専門家は極めて少数である。多くは聾学校幼稚部に在籍する。そして通常校に進級しても中学で聾学校に戻る児が多い。日本の乳幼児難聴への取り組みが今後は医療のみならず,保健・福祉,教育と連携して行われ,かつ,専門家の育成と実践の場の整備が急務であることを述べる。</p>