著者
福田 諒 髙森 康次 臼田 聡 道端 彩 池田 浩子 金生 茉莉 宮下 英高 角田 和之 河奈 裕正
出版者
日本口腔内科学会
雑誌
日本口腔内科学会雑誌 (ISSN:21866147)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-43, 2019 (Released:2020-06-30)
参考文献数
16

今回われわれは左側顎関節部に生じた結節性偽痛風と診断した1例を経験したので報告する。症例は48歳男性で左側顎関節部の疼痛を主訴に受診。補正偏光顕微鏡による弱い正の複屈折性を示す長方形の結晶の存在の確認,X線上での下顎頭周囲の点状の石灰化像より結節性偽痛風と診断した。顎関節部周囲の石灰化を伴う症例において結節性偽痛風は重要な鑑別疾患の一つと考えられる。
著者
伏見 華奈 齋藤 敦子 更谷 和真 土屋 憲 池ヶ谷 佳寿子 加瀬澤 友梨 徳濱 潤一 原田 晴司 柴田 洋 髙森 康次 増田 昌文
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.136-142, 2018-07-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
25

本邦には歯科用ユニットの給水に関する水質の基準がなく,レジオネラ属菌による汚染の報告もみられず医療関係者の関心も低い.当院は1997年より院内感染対策の一環として院内給水系のレジオネラ定期環境調査を行っており,2014年から歯科用ユニットの給水を環境調査に追加した.4台の歯科用ユニットのうち1台よりLegionella sp.が60 CFU/100 mL検出され,部位別にみると,うがい水,低速ハンドピース,スリーウェイシリンジから,1,000 CFU/100 mLを超えるLegionella sp.が検出された.対策として,給水の温水器停止と回路内のフラッシング,次亜塩素酸ナトリウム希釈水の通水を行ったが,Legionella sp.は検査検出限界以下にならなかった.歯科用ユニットの構造的理由から,高温殺菌や高濃度消毒薬の使用など更なる対策の追加はできず,やむを得ず歯科用ユニットを交換した.近年,大半のレジオネラ症例は感染源が明らかではない国内単発例と報告されており,これまで認識されていない感染源の存在が示唆される.エアロゾルを発生する装置としての歯科用ユニットの給水システムはレジオネラ感染の極めて高い潜在的リスクと考える.歯科用ユニット製造業者と使用管理者,行政が連携し,歯科用ユニット給水汚染の制御法確立とレジオネラ症予防のための適切な管理基準の策定が望まれる.