- 著者
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髙橋 紀穂
- 出版者
- 学校法人 天満学園 太成学院大学
- 雑誌
- 太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.169-178, 2013 (Released:2017-05-10)
本稿の目的はジョルジュ・バタイユの議論における禁止と意味の世界の関係を明らかにすることにある。各節で考察されるのは以下のとおりである。第1節では本稿の目的の確認を行う。第2節では,死,労働,自己意識と禁止の成立を考察する。第3節は原初の禁止としての自死の禁止について考察する。第4節では,自死の禁止の上に積み上げられる諸々の禁止について考察する。第5節では,人間と自然との分割線としての自死の禁止,この分割線の無意味性,およびその意味生成契機の役割,さらにその無意味性の隠蔽のための諸々の禁止について論じる。第6節では,語りえない無意味の体験としての至高性の体験,そしてそれについての記述の失敗の必然性について論じる。第7節「おわりに」では,この失敗による無意味の領域の照射,この領域を基礎に人間の文化と歴史を考察した場合の至高性と俗なる世界の無意味性,そして最後にこの無意味性の自覚の重要性について論じる。