- 著者
-
髙津 梓
奥田 健次
- 出版者
- 一般社団法人 日本行動分析学会
- 雑誌
- 行動分析学研究 (ISSN:09138013)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.64-70, 2019-08-31 (Released:2020-08-31)
- 参考文献数
- 13
研究の目的 本研究では、特別支援学校の給食場面で、飲食物を飛ばす、吐き出す行動の見られるダウン症候群の児童について、教室環境を調整した上でエラーレス指導を行い、その効果を検討した。対象者 知的障害特別支援学校小学部4年に在籍する、知的障害のあるダウン症候群女児1名。他者への不適切な関わりが多く、給食時には食べ物や牛乳を前方に飛ばす、口に入れたものを吐き出す、皿をひっくり返して振る行動が見られた。場面 対象児の所属校の給食場面で介入を行った。介入 牛乳を途中でこぼしたり牛乳やおかずを向かいにいる人に向けて飛ばしたりする不適切な行動に対し、①前方に衝立を設置する、②牛乳を飲み込んだら小分けにしたおかず等を小皿で提示する、③おかずを口に入れた際に前方に手をかざす、エラーレスを目指した介入を行った。行動の指標 給食時間中における不適切な行動の生起率、牛乳の摂取量を指標とした。結果 12週目以降不適切な行動が生起しなくなり、介入終了後も維持された。また、摂食スキルも向上した。結論 行動の形成期に使われることが多いエラーレス指導が、食事中においてすでに起こってしまった誤学習を修正することにも役立てられた。