著者
髙見 采加 成瀬 九美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.100_1, 2018

<p> 私たちはモノを把握する時、対象物の大きさや形状を認知し、把握経験による運動感覚と対応づけることで、脳内で自分にとって適切な手の形を表現している。静止物把握の把握様式には個人差がみられる(鎌倉、1978)ため、把握動作の分析により、その人が外界物をどのように予測して動作を遂行しているかを推測できる可能性がある。本研究では、棒状物が前額面で回転する課題を用い、把握手(順手 / 逆手)の変化を分析した。大学生女子28名を対象とし、棒状物を30°ごとに回転させた6種類の刺激写真をプロジェクターで提示した。第1実験では刺激写真をランダムに提示した。30°と60°では順手・逆手把握の両方がみられ、把握手一貫性は低かった。第2実験では、0°から右回り又は左回りに順に連続提示した。把握手一貫性の低い30°や60°を中心に身体的制限による把握手の切り替えが観察された。また、切り替え回数及び切り替えを行った角度の使用数をもとにクラスター分析を行った。切り替えを行った角度の使用数が多い群は、少ない群と比較してTAIS下位尺度のBET(注意の広さ)やINFP(情報処理能力)の得点が有意に高かった(p<0.05)。</p>