著者
成瀬 九美 上田 遥菜
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
巻号頁・発行日
vol.71, 2021

<p>身体部位写真によるメンタルローテーション(以下MR)では生体力学的制限(biomechanical constrain)を受けて運動制約の高い提示角度で反応時間(以下RT)が延長する。報告者らは手足写真(手掌・手背・足底・足背)を6角度(0、 60、 120、 180、 240、 300度)で提示する実験を行い、手掌写真のRTに制限による遅延が認められたのに対して、手背写真のRTは180度が最も遅く、この角度を頂点とする左右対称となった(上田・成瀬、2019)。この特徴は文字刺激を用いた場合と同様であり。部位表裏を用いたMRから視覚的イメージの使用など個人傾向を把握できる可能性がある。しかしながら、従来、MRはRTを指標とする場合が多く測定機器が必要となるため集団実施が難しい。本研究では、刺激画像の提示時間を一律にして左右同定の確信度を求め、100mmアナログスケールによる回答に上記の左右対称(手背)/非対称性(手掌)が現れるかを検証した。1000msと1500msの2種類の提示時間を用いて、待機画面(2000ms)→刺激画面(1000または1500ms)→回答画面(5000ms)で1試行を構成し、部位(手掌・手背)×左・右×6角度×2回の合計48試行を実施した。1000mm提示条件に43名、1500㎜提示条件に41名の大学生が参加した。二元配置分散分析の結果、提示時間1000mmの場合、交互作用が有意であり、下位検定の結果、手背180度と他の5角度との間に、手掌180度と60度との間に有意差がそれぞれ認められた。提示時間1500mmの場合、角度と部位の主効果が有意であり、下位検定の結果、180度と0度、60度、300度との間に有意差が認められ、手背の確信度は手掌より有意に高かった。以上の結果から、提示時間1000mmの場合に左右対称(手背)/非対称性(手掌)が明瞭に得られた。</p>
著者
髙見 采加 成瀬 九美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.100_1, 2018

<p> 私たちはモノを把握する時、対象物の大きさや形状を認知し、把握経験による運動感覚と対応づけることで、脳内で自分にとって適切な手の形を表現している。静止物把握の把握様式には個人差がみられる(鎌倉、1978)ため、把握動作の分析により、その人が外界物をどのように予測して動作を遂行しているかを推測できる可能性がある。本研究では、棒状物が前額面で回転する課題を用い、把握手(順手 / 逆手)の変化を分析した。大学生女子28名を対象とし、棒状物を30°ごとに回転させた6種類の刺激写真をプロジェクターで提示した。第1実験では刺激写真をランダムに提示した。30°と60°では順手・逆手把握の両方がみられ、把握手一貫性は低かった。第2実験では、0°から右回り又は左回りに順に連続提示した。把握手一貫性の低い30°や60°を中心に身体的制限による把握手の切り替えが観察された。また、切り替え回数及び切り替えを行った角度の使用数をもとにクラスター分析を行った。切り替えを行った角度の使用数が多い群は、少ない群と比較してTAIS下位尺度のBET(注意の広さ)やINFP(情報処理能力)の得点が有意に高かった(p<0.05)。</p>
著者
成瀬 九美 藤原 素子 星野 聡子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学スポーツ科学研究 (ISSN:13449885)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.49-53, 2006

本稿は、財団法人奈良市生涯学習財団から依頼を受けて実施した中部公民館主催事業「平成17年度ヘルシー&ハッピー講座」の実施報告である。当講座の開催主旨を述べ、実施プログラムの概要を報告する。また、受講者に実施したアンケート結果から、参加中高年者の運動による気分評価や本講座への評価を収集するとともに、今講座に対する評価を分析し、今後の実践に向けた課題の探求を試みた。
著者
成瀬 九美
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

同じリズムで動くとき、我々は共通の感情を表出し、他者との一体感を味わうことがある。リズム同調性のある活動は社会的統合の現われでありソーシャル・スキルの一つである。本研究では2者のコミュニケーション場面を取り上げ、前腕回転課題、タッピング課題、手合わせ課題を用いた実験や、幼稚園児の積み木遊びの観察事例において,動作速度の変化を分析した。同調過程では他者身体に対する自己身体の調整が行われ、この相補的な関わりの中で二者のリズムが形成された。