著者
星 幸男 久田 嘉章 山下 哲郎 鱒沢 曜 島村 賢太
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.2_73-2_88, 2010 (Released:2011-07-27)
参考文献数
7
被引用文献数
6 5

近年首都圏に建つ超高層建築では巨大地震に対する対策の重要性が指摘されている。巨大地震に対する被害想定や被害低減案を示すには、地震時における正確な振動性状の把握が不可欠である。本論文では新宿副都心に建つ最高高さ143mの超高層建築物である工学院大学新宿校舎を対象とした観測記録および立体フレームモデル解析結果の比較検討による振動性状の評価を示す。はじめに常時微動観測および人力加振観測より得られた固有周期およびモード形を表す変位振幅図を立体フレームモデル固有値解析結果と比較を行い両者が一致する事を確認した。続いて対象建築物の強震観測システムより得られた地震観測記録と立体フレームモデル応答解析結果との比較を行い両者が良い対応を示す事を確認した。解析に用いる減衰は人力加振観測より算出した減衰および超高層建築に一般的に用いられる、初期剛性比例減衰の2種類を用い比較検討を行った。これより初期剛性比例減衰では高次モードの減衰を過大に評価している事を確認した。さらに、モーダルアナリシスを用いた最大応答値の評価や、観測記録の振幅レベルによる固有周期の変化についても考察した。