著者
井上 政則 中塚 誠之 曽我 茂義 吉川 裕紀 長谷 学 鳥飼 秀幸 田村 全 塚田 実郎 屋代 英樹 小柳 喬幸 山岸 敬幸 陣崎 雅弘
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.134-146, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
19

リンパ系システムは水分バランスの調整に於いて重要な役割を担っている.従来リンパ系システムの重要性は認識されてきたが,臨床的にリンパ系システムの画像化が困難であり,インターベンションによる治療介入も他の脈管系と比較して遅れをとってきた.しかし近年発達してきた鼠径部リンパ節からのリンパ管造影やMR lymphangiographyは新たな画像診断とインターベンションへのへの門戸を開いた.リンパ系システムの異常はリンパ浮腫とリンパ漏に大別される.この中で,リンパ漏れまれであるが重篤になり得る状態である.術後リンパ漏はリンパ漏の原因では頻度が高く,乳び胸水や腹部リンパ漏に代表される.適切な画像診断を行い,漏れを描出することでインターベンションにて治療可能となる.本稿では,総括的に臨床に重要なリンパ管解剖,リンパ管造影,適切なリンパ管造影の選択や様々なリンパ漏に対するインターベンションによる治療戦略を概説する.