著者
鶴岡 詳晁 Yoshiaki Tsuruoka 千葉経済大学 Chiba Keizai University
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-15,

わが国の自動車産業は、大手のトヨタ、ホンダ、日産、マツダなどが2004年9月中間決算では過去最高の業績をあげた。そのなかにあって欠陥車問題を抱えた三菱自動車のみが不振をきわめている。死亡事故までもひき起したのは、三菱自動車工業が過去に生産したトラックであって、トラック・バス部門を分社化した現在の三菱自動車が生産している乗用車ではない。しかし、三菱のマークをつけたクルマは安全でないという庶民感情から国内での三菱のクルマは販売不振に陥っている。消費者の安全の確保から、欠陥車を全てリコールしてまず安全をとりもどし、つぎに消費者の選択の拡大から、消費者が買いたくなる車づくりができるかが三菱自動車の緊急の課題である。この小論は、2004年12月末までの三菱自動車の再建についてまとめたものである。
著者
鶴岡 詳晁
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.47-60, 2006-01-31

去る2005年5月に米国の世界的企業のGMとフォードの業績が急激に悪化し、社債格付けが「投資不適格」にまで引き下げられた。ほぼ同時に米国の自動車市場での日本車のシェアが30%という経済摩擦の危機ラインを越えたというニュースも世界を駆け巡った。この小論は、第三次日米自動車摩擦が起きることはないのかを、GMなどの業績の問題点を指摘し、かつその改革案を経済論理的な視点から分析したものである。とくに、日本の大手3社が自社のクルマの値上げをはかって、米国企業のクルマの販売増を側面から支援したり、また、GMが日本の富士重工業の持ち株を売却したのをトヨタが引きうけるなど、従来の日米間の競争よりも共生を目指して日米間の摩擦の解消をはかっている。2005年11月時点では、日米間の摩擦は経済論理的な面では起こりえないと信じているが、来年にもち越されるリストラの動きと11月の中間選挙に関連して政治面的な要因から摩擦が起きる可能性がある。