著者
鶴木 恭子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.50-55, 2010-12-20 (Released:2016-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究は,重曹を清拭時の清拭剤として使用した場合,温湯清拭に比べて皮脂を除去する効果はあるのかについてと,発赤や.痒感など皮膚への影響を明らかにする目的で行った.被験者は女子学生14名である.重曹をお湯に溶かし,そのお湯に浸したタオルを絞り前腕を清拭し,pH,角質水分量,発赤の観察,アンケート調査を実施した.対照群として,もう片方の前腕には温湯清拭を行い同項目の測定を行った.その結果,重曹清拭が温湯清拭よりも皮脂を除去できるかどうかについては明らかにすることはできなかった.しかし,清拭後の皮膚が弱酸性に戻りやすい清拭剤になる可能性があることがわかった.発赤と.痒感については1例の出現もなかった.今回の結果は,重曹を用いた清拭は皮脂を除去できないと断定できるものではなく,皮膚pHの結果から推測すると重曹の作用を皮膚に与えることができなかったためではないかと考える.このため,今後は重曹の作用を皮膚に与えられる絞り方など方法を検討し,重曹清拭の影響を明らかにしていきたい.
著者
鶴木 恭子
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.23-32, 2014-06-30

本研究の目的は、重曹を湯に溶解しその湯を用いて清拭(重曹清拭)を行った時の洗浄効果と皮膚機能への影響を明らかにすることである。健康な皮膚を持つ20代の11名を対象として、背部に1%の重曹清拭を行い、皮膚表面の油分、角層水分量、皮膚のpH、発赤の観察、主観的調査を行った。その結果、重曹を用いた清拭は、被験者の皮脂の約2/3を除去できた。角層水分量の減少率は1/5であり、皮膚のpHは弱酸性を示した。発赤・掻痒感の出現もなかった。重曹は清拭時の洗浄剤として効果があり、かつ低刺激性であることが示唆された。