著者
矢萩 実幸
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.45-54, 2018-01-31

介護保険制度が策定されてから、退院後の高齢者の療養場所も多様化している。近年、専属の退院支援チームが退院支援を担うことが多くなってきているが、入院時から高齢者に関わっている病棟看護師にも退院に向けての支援が望まれる。本研究では病棟に勤務する看護師を対象に後期高齢者の退院支援についてどのような援助を行っているかを明らかにすることを目的とした。同意を得られた対象者244 名のうち、退院時に支援しているものは107 名であった。援助の内容について自由記述で調査を行ったところ、高齢者と家族の不安の傾聴、退院後の高齢者の生活を想定した患者や家族の指導に関するもの、社会資源の制度を使うことに関するものに関連した援助の内容が抽出された。後期高齢者の退院支援には高齢者の意思を尊重しながら家族に働きかけること、日常生活を重視した支援が中心であることが示唆された。Places for elderly people after discharge have diversified since the establishment of the nursing care insurance system. In recent years, the frequency with which exclusive discharge support teams provide discharge support has increased, but ward nurses intervening for elderly people from admission should also ideally provide such support. The present study aimed to clarify the kind of discharge support provided by ward nurses for advanced elderly. Of the 244 subjects who consented to participate in the study, those providing support at discharge numbered 107. An open-ended survey was conducted to investigate the details of support, which extracted support regarding: listening to the anxiety of elderly people and their families, guidance for elderly people and their families in preparation for the former's post-discharge life, and the use of social resource systems. We suggest that discharge support for advanced elderly should focus on respecting their intentions, placing emphasis on their daily lives, and encouraging their families.
著者
臺野 美奈子
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.33-51, 2014-06-30

本研究の目的は、臨地看護学実習評価が不合格となり留年となった学生の体験と学業を継続することができた要因を明らかにすることである。対象は学生時代に臨地看護学実習が不合格になり留年した経験を持つ、卒後二年目の看護師5名である。データ収集方法は、半構成的面接を実施した。分析方法は、インタビュー内容を質的帰納的に分析した。結果は、【留年の原因】【不合格・留年時の心境】【指導時に学生を追い詰める要因】【学生を追い詰める実習環境】【不合格・留年時の親の反応】【学生が教員に求める教育実践】【立ち直りを支えた要因】【学生の自己理解を育む支援体制】【後輩へ送るメッセージ】【実践力強化を目的とした実習内容の見直し】の10カテゴリーが抽出された。不合格・留年学生はプレッシャーに弱く、指導時に過度に緊張しパニックになってしまう傾向があった。また、教員や実習指導者の指導方法や評価方法が学生を精神的に追い詰める要因となっていたなど、不合格・留年学生に必要な指導・支援方法が示唆された。
著者
横山 聖美
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.55-64, 2015-08-31

わが国の医療機関で行われるグリーフサポートへの示唆を得ることを目的に研修に参加した。アメリカのホスピス・緩和ケアの中でグリーフサポートは保険適応されており、医師、ソーシャルワーカー、チャプレン、ボランティアなど多職種が担っていた。アメリカでは、人種や宗教の多様性から、様々な対象特性に合わせた遺族のためのサポートグループが継続的に開催されており、遺族が自ら選び取れるシステムになっていた。わが国の医療機関で行われるグリーフサポートを主に担っているのは臨床看護師であるが、専属業務ではなく、遺族の多様なニーズに対応できていない現状がある。また、グリーフサポートに関わる専門的な教育システムや、専門職種が不足していることも課題である。本研修を通して、わが国におけるグリーフサポートを誰が担うことが適切なのかを含めた検討と共に、現在グリーフサポートを担っている臨床看護師への教育的支援の必要性が示唆された。
著者
柴田 和恵 菊地 美香 シバタ カズエ キクチ ミカ Kazue SHIBATA Mika KIKUCHI
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-99, 2009-06-30

本研究では、看護学生のストレスマネジメント能力を高める支援方略の基礎的資料を得るため、バイオフィードバック(以下BF)法訓練中の生理的指標(心拍数)とコヒーレンス比率との関連、およびBF 法の初回訓練直前と最終訓練直後での心理的指標(気分や感情、認知判断の傾向)の変化を明らかにすることを目的とする。対象は、A大学看護学科1年生18名で、BF 訓練は1回5~10分、週3回、3週間実施し、心拍数とコヒーレンス比率の関連をSpearmanの順位相関係数を用い、POMS 短縮版とLOC の得点比較をWilcoxonの符号付順位和検定を行った。その結果、BF 法訓練中のコヒーレンス比率と心拍数が負の相関を示し、BF 法訓練後に「活気」を除く気分・感情陰性要因すべてが有意に低減した。また、内的統制志向群は、外的統制志向群に比べて、気分・感情陰性要因への影響を受けやすい傾向があった。BF 法訓練は看護学生のストレスマネジメント能力向上に期待できることが示唆された。This study was designed to provide basic knowledge and data required for strategies to enhance the ability of nursing students to manage their stress. We examined the relationship between heart rates (a physiological indicator) and rhythm coherence, as well as changes in the indicators of psychological states (feelings, emotions and cognition) during Biofeedback (BF) training. Subjects were 18 first year students in the Department of Nursing at University A. Five to ten minute sessions of BF training were held three times a week for three weeks. To examine the relationship between heart rates and rhythm coherence, we performed Wilcoxon's signed rank sum test, using Spearman's rank correlation coefficient, to compare the scores obtained from a short version of the Profile of Mood State (POMS) and a Locus of Control (LOC) scale. The results showed an inverse correlation between heart rates and rhythm coherence, significant decreases in negative mental and emotional factors, and an increase in vitality" during BF training. Students with an internal LOC were more vulnerable to negative mental and emotional factors, compared to those with an external LOC. It was demonstrated that BF training is effective in enhancing their stress management ability.
著者
柴田 和恵 菊地 美香 シバタ カズエ キクチ ミカ Kazue SHIBATA Mika KIKUCHI
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-99, 2009-06-30

本研究では、看護学生のストレスマネジメント能力を高める支援方略の基礎的資料を得るため、バイオフィードバック(以下BF)法訓練中の生理的指標(心拍数)とコヒーレンス比率との関連、およびBF 法の初回訓練直前と最終訓練直後での心理的指標(気分や感情、認知判断の傾向)の変化を明らかにすることを目的とする。対象は、A大学看護学科1年生18名で、BF 訓練は1回5~10分、週3回、3週間実施し、心拍数とコヒーレンス比率の関連をSpearmanの順位相関係数を用い、POMS 短縮版とLOC の得点比較をWilcoxonの符号付順位和検定を行った。その結果、BF 法訓練中のコヒーレンス比率と心拍数が負の相関を示し、BF 法訓練後に「活気」を除く気分・感情陰性要因すべてが有意に低減した。また、内的統制志向群は、外的統制志向群に比べて、気分・感情陰性要因への影響を受けやすい傾向があった。BF 法訓練は看護学生のストレスマネジメント能力向上に期待できることが示唆された。
著者
鶴木 恭子
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.23-32, 2014-06-30

本研究の目的は、重曹を湯に溶解しその湯を用いて清拭(重曹清拭)を行った時の洗浄効果と皮膚機能への影響を明らかにすることである。健康な皮膚を持つ20代の11名を対象として、背部に1%の重曹清拭を行い、皮膚表面の油分、角層水分量、皮膚のpH、発赤の観察、主観的調査を行った。その結果、重曹を用いた清拭は、被験者の皮脂の約2/3を除去できた。角層水分量の減少率は1/5であり、皮膚のpHは弱酸性を示した。発赤・掻痒感の出現もなかった。重曹は清拭時の洗浄剤として効果があり、かつ低刺激性であることが示唆された。
著者
川口 雄一 カワグチ ユウイチ Yuuichi KAWAGUCHI
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.7, pp.31-37, 2007

The purpose of this study was to construct a portal site for distributing on-line documents for students. The site aimes at not just distributing documents but also receiving replies, such as questions and comments, from students. For that purpose, a weblog system is used. The system is called 'Nucleus CMS.' In this paper, an installation and some customizations of the system are described. Further customizations are planned to use the portal site in real classes.
著者
目時 光紀
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.53-60, 2014-06-30

本稿では、T大学看護栄養学部に在籍する学生の入学形態と英語力の関係について報告する。T大学の入学者選抜方法は、指定校推薦入試、公募制推薦入試、社会人入試、一般入試、センター試験利用入試の5つである。このうち、英語科目の受験が求められるのは、一般入試とセンター試験利用入試のみである。本研究では、2012年度入学の1年生にG-TELP Level 4(300点満点)を実施し、英語科目受験群(一般入試入学者、センター試験利用入試入学者)と英語科目非受験群(指定校推薦入試入学者、公募制推薦入試入学者、社会人入試入学者)のスコアーの平均値に統計的な有意差があるかどうかを調査した。調査の結果、英語科目受験群のほうが英語科目非受験群よりも平均点が約34点高く、統計的な有意差も見られた。
著者
川口 雄一 目時 光紀
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.65-70, 2015-08-31

本研究の目的は、複数のウェブ・アプリケーションで、単一のアカウントを共通に使用することである。グーグル・アカウントを、2 つのウェブ・アプリケーションにおける認証で活用できたので報告する。ウェブ・アプリケーションとして、現在、大学の授業管理のためにmoodle を利用しており、今後、統計処理のためにrstudio-server を利用する計画である。どちらも学外の商用VPS上で運用しており、大学LDAP へはアクセスはできない。大学にはGoogle Apps for Education が導入されている。このアカウントを活用した。The purpose of this study is to share a single account by several web-based applications. It was confirmed that Moodle and RStudio are able to authenticate users with Google accounts. Moodle, a web-based learning platform, is currently used at Tenshi College. RStudio is also to be used for statistical analysis in course work. They are both accessible by commercial VPS hosts outside the college. However, they cannot directly access the LDAP system in the college. Google Apps for Education has been used at Tenshi College.