著者
内本 亮吾 鶴田 順子 村川 敏介 坂部 武史
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.42-48, 1998

麻酔導入時にイソフルラン/酸素の低流量麻酔を行ない,それに適する酸素流量を検討した.流量は0.5, 1, 2, 4, 6l/分(各12例)とした.FIO<sub>2</sub>0.9となるまでの時間は,0.5,1l/分ではそれぞれ44±12分と20±6分で,他の流量の場合より有意に長かった.FIO<sub>2</sub>0.96となるまでの酸素使用量は2l/分が最少(平均43l)で,1l/分以下では生体の酸素消費量が,4l/分以上では余剰酸素量が総酸素使用量増加の原因と考えられた.2l/分以上では,用手換気5分後の呼気イソフルラン濃度(気化器設定5%)は,1.76%(1MACintubation)以上となった.血行動態は4l/分以上で挿管前からの心拍数増加,1l/分以下で挿管後の血圧上昇を認め,2l/分で比較的安定していた.以上より,できるだけ少ない流量で麻酔導入する場合の酸素流量は,2l/分が適当と考えられた.