著者
鹿内 学 水原 啓暁
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

脳の報酬系を担う領野は,原始的な報酬である食べ物と同様に,「ほめられる」といった刺激によっても活動する事が知られており,社会的刺激が報酬として知覚されることが示唆された.また,報酬系の活動は同じ刺激でも異なる活動を示す場合がある.この事は,報酬系の活動は,報酬の与えられる条件や文脈など比較的短い期間で変化する環境にも,適応的に変化することを示唆する.本研究では,ムカデゲーム(Centipede<br> game,「囚人のジレンマ」の動的版)と呼ばれる2人で行うゲームを,実験参加者に行ってもらい,その時の脳活動をfMRI計測した.被験者は,ゲームの中で,相手の行動から協調性を推定した上で,自身の行動を適切に変更することが求められる.このfMRI脳活動を分析することによって,他者の協調性(もしくは非協調性)に関わる領野,報酬系の領野を明らかにし,協調性という社会的条件により報酬系が変調する事を調べた.