- 著者
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水原 啓暁
佐藤 直行
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
本提案では,ヒトとヒトのコミュニケーションは、コミュニケーションを行う二者の脳の神経活動の振動(神経リズム)がシンクロすることによって実現される,という仮説を検証する.この目的のために,コミュニケーション課題を遂行中の被験者からの脳波計測を実施するとともに,神経リズムのシンクロを非侵襲的に操作することで,コミュニケーションの量的および質的変化が起こるかを調べる.本研究提案の成果は,円滑なコミュニケーションを実現するための技術開発につながる.令和元年においては,以下の2つの研究項目のうち、「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」について重点的に研究を遂行するとともに、「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」についても、その非侵襲脳刺激の方法について検討した.(1) コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ(2) 非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」については,ナレーションを聴取中の20名の実験参加者を対象とした脳波計測実験を完了した.この実験では,短編小説のナレーションを聴取後に,どのような内容であったかを自由想起により被験者に回答してもらう課題である.自由想起した内容とオリジナルの小説文章との意味的な一致度を定量的に評価するために,自然言語処理技術を用いてそれぞれの文章を意味ベクトルに分解する.この意味ベクトルの一致度合いに基づき,被験者がどの程度ナレーション文章の聴取に成功していたかの成績評価を行う方法を開発した.特に今年度においては,自然言語処理技術による評価性能が最大となるパラメータ探索を実施した.また,「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」については,現在,経頭蓋電気刺激の利用可能性について検討を開始したところである.