著者
元村 佳恵 渡辺 敏幸 麻生 清
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.805-809, 1962

(1) クロマツ,ヤマユリ,オニユリの3種の花粉を一般分析した結果,ヤマユリ,オニユリなどの虫媒花花粉はクロマツ,ガマの穂などの風媒花花粉に比べて,粗脂肪,総転化糖,直接還元糖が多くなっている.<br> (2) クロマツ,オニユリ,ヤマユリ,カボチャ,オオマツヨイグサの5種の花粉の水溶性糖及び85%エタノール可溶性糖のPPCを行なった結果,クロマツではサッカロースが主な糖であり,その他の花粉ではフルクトース,グルコース及びサッカロースの3種が主な糖であることを認めた.<br> (3) 上記5種の花粉の85%エタノール可溶性糖について, PPC法による3糖の分離定量を行なった結果,クロマツ花粉ではサッカロースが著しく多かった.またフルクトースとグルコースの割合はオニユリを除いてややフルクトースの方が多くなっているが,ヤマユリ,オニユリではほぼ同量含まれている.カボチャとガマの穂の花粉はサッカロースが比較的少なく,またカボチャはグルコースに比ベフルクトースが非常に多くなっいる.<br> (4) クロマツ花粉の糖類をCarbon CCで分別し,それらの糖組成をPPCでしらべた結果,フルクトース,グルコース,サッカロース,ツラノース,マルトース,イソマルトース,ラフィノースの他に5種の糖類を認めた.