著者
黄 河 松田 文子 三澤 哲夫
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.12-19, 2011

中国の金属加工労働者100名を対象に,日本の「蓄積疲労度自己診断チェックリスト」「自覚症しらべ」等を用いて疲労の状況を調査した。結果,調査対象者全体の傾向として,蓄積性疲労が基準値と比べてやや高いことが伺えた。自覚的な疲労感としては,上肢と下肢に訴えが集中していることがわかった。調査対象者の6割以上が「休み時間が短い」「休憩施設が無い」などの理由で,「昼休みで十分な休みがとれない」と回答し,7割以上が,昨年1年間で,風邪,腰痛などの病気をしたこともわかった。残業に関しては,「仕事の量が多い」「仕事が急に入ってくる」等の理由で,8割が日常的に経験していた。本研究では,労働者の健康を守るために,労働時間の短縮とともに,労働環境や人間工学的条件の改善が必要であることを明らかにした。(表1,図4)