著者
金原 清之
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5-6, pp.150-162, 2019 (Released:2021-10-10)
参考文献数
35

奈良・東大寺の廬舎那仏像(いわゆる奈良・大仏)は,鋳了後,5か年を要して金メッキが施された。このメッキ法は,金アマルガムを鋳造像の表面に塗り,これを加熱して水銀を蒸発させ,表面に金を残す「アマルガム法」であった。このとき蒸発させた水銀蒸気により,多数の職人が水銀中毒にり患したと言われている。しかしながら,中毒が発生したとする根拠は明らかにされていない。そこで,本報では,金メッキ作業従事者の水銀中毒発生の可能性をリスクアセスメントにおけるリスク評価の方法を用いて検討した。その結果,作業は危険な状況で,多数の作業者が中毒したと判断された。
著者
小山 秀紀 鈴木 一弥 茂木 伸之 斉藤 進 酒井 一博
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.56-67, 2019 (Released:2020-04-10)
参考文献数
33

本研究では昼寝を想定した椅子での短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響を調べた。仮眠は昼食後の20分間とし,ベッドでの仮眠を比較対照とした。測定項目は睡眠ポリグラフ,パフォーマンス(選択反応課題,論理課題),精神的作業負担とした。分析対象は夜間睡眠統制に成功した6名(20.8 ± 1.6歳)であった。ベッド条件に比べ,椅子条件では中途覚醒数が有意に多く(p < 0.05),徐波睡眠が少ない傾向にあった。両条件で仮眠後に眠気スコアは有意に低下した(p < 0.001)。パフォーマンスは条件間で有意差はなかった。昼寝椅子における短時間仮眠は睡眠が深くなりにくく,ベッドとほぼ同様の眠気の軽減効果が得られることが示された。(図5,表8)
著者
椎名 和仁 北島 洋樹
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.140-148, 2013 (Released:2015-03-25)
参考文献数
22

本研究では,前報で報告した電気通信工事現場における 「ヒヤリ・ハット」 から,事故防止対策を探るために,(1)屋内工事と屋外工事の年齢別における項目の傾向,(2)「転落・転倒」 における 「作業内容」 と 「心身機能」 の関係性を詳細に分析した。その結果,屋内工事の18~30歳層では,「脚立作業」 や 「OA床開口部」 での報告が多かった。31~50歳層では 「誤接続・誤接触」 や 「ケーブル損傷・抜け」 に関する報告であった。屋外工事の18~30歳層では,「墜落」,「転落・転倒」 の報告であった。51~60歳と61歳以上の層からは,「自動車運転時」 の体験が多く報告された。「心身機能」 を分析した結果,「脚立作業」 は,屋内工事では 「作業行動」 が近い関係にあり,屋外工事は 「作業行動」 と 「感情・情動」 が近い関係にあった。これらから,ヒヤリ・ハットを活かした事故防止教育の検討が課題として挙げられた。(図5,表1)
著者
茂木 伸之 鈴木 一弥 山本 崇之 岸 一晃 浅田 晴之
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.27-38, 2018 (Released:2019-12-10)
参考文献数
21

近年,長時間の座位姿勢の継続による健康リスク対策として,立位姿勢で作業を挿入する方法(sit-stand workstation)が提案されている。本研究は立位姿勢を挿入する適切な時間範囲を導くために,2時間のコンピュータ(文章入力)作業を(1)10分立位と50分座位の繰り返し,(2)40分立位と20分座位の繰り返し,(3)座位条件で比較した。測定項目は下腿周囲長,主観的疲労感,身体違和感,反応時間課題であった。その結果,10分立位条件は有効であった。一方,40分の立位姿勢の継続は下肢の負担が生じる条件となった。立位姿勢の適切な挿入時間は10分から30分になった。作業パフォーマンスは男性の10分立位条件の姿勢転換後にリフレッシュ効果が示唆された。(図6 表1)
著者
余村 朋樹 施 桂栄 作田 博 彦野 賢
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.166-173, 2013 (Released:2015-05-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

しばしば繁忙感はヒューマンエラーの一因として指摘される。しかし,繁忙感に影響を与える要因については明らかになっていない。そこで本研究では,組織環境下の従業員の繁忙感に影響を与える要因とその相互関係について明らかにすることを試みた。その結果,繁忙感に影響を与えるのは,主観的業務量,業務の重複度合い,情報量といった業務の発生状況から成る 「業務密度感」 と,業務に対する能力不足感や業務全体の不可視性から構成される 「不能感」 と,グループ内の支援状況から組成される 「低支援性」 であることが示された。さらに,繁忙感に直接的かつ大きく影響を与えるのは 「業務密度感」 で,「不能感」 や 「低支援性」 は 「業務密度感」 を介して繁忙感に影響を与えていることが明らかとなった。 (図2,表6)
著者
小山 秀紀 鈴木 一弥 茂木 伸之 斉藤 進 酒井 一博
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.56-67, 2019

<p>本研究では昼寝を想定した椅子での短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響を調べた。仮眠は昼食後の20分間とし,ベッドでの仮眠を比較対照とした。測定項目は睡眠ポリグラフ,パフォーマンス(選択反応課題,論理課題),精神的作業負担とした。分析対象は夜間睡眠統制に成功した6名(20.8 ± 1.6歳)であった。ベッド条件に比べ,椅子条件では中途覚醒数が有意に多く(p < 0.05),徐波睡眠が少ない傾向にあった。両条件で仮眠後に眠気スコアは有意に低下した(p < 0.001)。パフォーマンスは条件間で有意差はなかった。昼寝椅子における短時間仮眠は睡眠が深くなりにくく,ベッドとほぼ同様の眠気の軽減効果が得られることが示された。(図5,表8)</p>
著者
斉藤 良夫
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.13-24, 2012-02-10 (Released:2013-09-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

従来の労働者の疲労研究では,彼らの疲れの体験に関して科学的議論が行われてこなかった。そこで,労働者の長期的な疲労の研究方法を構築する目的で,人間の疲れとは何かに関する心理学的考察を行った。まず,ロシアの心理学者A. N. レオンチェフの活動理論を参考にして,人間の生活活動における心理的構造について論じた。次に,人間の疲れの現象には動機,欲求,感情,記憶などのさまざまな心理現象と関連する特徴があることを述べ,“人間の疲れは生活活動へのモティベーションの減退を基本的内容とする認知現象である”と規定した。最後に,労働者の長期的疲労の研究のために彼らの疲れを長期間にわたって調査研究する意義について述べた。
著者
馬塲 美年子 一杉 正仁 大久保 堯夫
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.12-17, 2013 (Released:2014-09-25)
参考文献数
21

交通事故の原因の約1割は,運転者の体調変化に起因すると言われており,今後の効果的予防策として,運転者の体調管理が挙げられる。特に,規制緩和の影響などにより労働環境が厳しい状況にあるタクシー業界では,運転者の高齢化も顕著であり,他の事業用自動車の運転者より,健康起因事故の発生率が高い。タクシー運転者では,脳血管疾患や心疾患の危険因子を持つ人が多いことが指摘されてきた。タクシー運転者の健康起因事故を予防するために,事業者と運転者,産業医の連携が必要であると思われる。さらに,業界や国などによる健康管理へのサポート制度の導入などが望まれる。(図4)
著者
小木 和孝
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.88-93, 2014 (Released:2016-01-25)
参考文献数
15

故斉藤一医学博士(1910-2014)は,1935年倉敷労働科学研究所に入り,労働科学研究所にあって研究を続け,1982年に所長を退任後までにわたって,労働科学研究を先導し,支えてきた。産業現場調査をもとに労働負担に着目して,その実態と改善策について実証的研究を行った。とりわけ,高温環境における水分喪失と内部環境の調整,労働時間と交替制のあり方,技術革新下の労働生活実態にそくした健康対策について半世紀を越えて研究を続けた。労働の生理的負担とそれに伴う血液性状など内部環境の調整を睡眠時を含む生活実態に見合って調査する研究手法が基盤になっている。研究成果をもとに,これからの産業労働のあり方についての労働科学的見地から多くの提言を行い,広く応用された。アジア地域との国際協力にも積極的に取り組んだ。人を惹きつける人徳に根差した指導と洞察力により,労働科学研究の発展に大きく貢献した。
著者
ヴォイチェフ ヤストシェンボフスキ:ポーランド語原本 ダヌータ コルデツカ:復刻版編集者 テレサ バウカ-ウレヴィチョヴァ:英語訳 斉藤 進:日本語訳 松田 文子:日本語訳 酒井 一博:日本語訳
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.189-219, 2012 (Released:2014-07-25)
被引用文献数
1

人間工学のルーツは,1857年にポーランドの科学者ヤストシェンボフスキが,ギリシャ語に由来するエルゴノミクスを「働くことの科学」として造語したことに遡る。人間工学の誕生である。ヤストシェンボフスキは,エルゴノミクスの概念を1857年発行の「自然と産業」誌にポーランド語で発表した。ポーランド労働保護中央研究所では原典を英訳し,「エルゴノミクス概説-自然についての知識から導かれる真理に基づく労働の科学」として,国際人間工学連合と米国人間工学会大会が2000年に併催されたときに記念出版した。歴史的に重要な書籍の復刻版を日本語で公開することに対し,快諾頂いたポーランドの英語版編集者ダヌータ・コルデツカ労働保護中央研究所長に感謝する。
著者
茂木 伸之 三澤 哲夫
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.33-39, 2013 (Released:2014-11-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

立位作業時における作業面高の適切な高さを確保する条件としては,肘頭高を基準とすることなどが推奨されている。そこで本研究は,作業面高を設定するとき,その最適値と調節範囲について明らかにすることを目的とした。主観評価から,肘高差が10cmである条件が 『丁度よい』 という評価が最も多かった。順位評価は,10cm,15cm,5cm,20cmの順であった。作業姿勢では,最も発生頻度が多かった角度は4条件すべて0~10度であった。本研究における適切な作業面高は,肘頭高と作業面高の肘高差が10cmである条件となった。作業面高の調節は必要と考えられ,主観評価および作業姿勢角度から条件10cm,調節範囲は±5cmが望ましいことが明らかになった。(図3,表2)
著者
佐々木 司 松元 俊
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.174-194, 2013

国際線運航乗務員の年齢構成,乗務編成,睡眠-覚醒パターンを模擬して,調査対象者X(男性,36歳)とY(男性,47歳)の2名が,睡眠脳波,直腸温,パフォーマンスを測定する予備調査を行った。乗務条件は,往復夜間乗務でシングル編成のデリー便および,往路昼間乗務,復路夜間乗務でマルチプル編成のムンバイ便であった。両便の往路乗務直後の睡眠は,睡眠間隔が通常より長いにも係らず短縮した。復路乗務前に現地の昼間時刻帯にとる予防的仮眠は,勤務開始時刻に制限されて出発時刻の早いムンバイ便でより短縮した。これらの睡眠の劣化は,若年者であるXより熟年者であるYで大きかった。また昼間乗務より夜間乗務,また往路乗務より復路乗務の反応時間の劣化が著しく,その対策として現地の昼間にとる補償的仮眠と,とりわけ熟年者には夜間乗務中の仮眠が重要と結論付け,調査方法を再検討して本調査に資することにした。(図4,表4,写真2)
著者
坂口 舞 三木 明子
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-13, 2014 (Released:2015-09-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3

看護師におけるパワーハラスメントの被害経験が外傷性ストレス反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。無記名自記式質問紙調査を実施し,11病院の看護師1,890名を分析した。外傷性ストレス反応を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,情報を与えてもらえなかった,仲間はずれにされた,間違いや誤りを繰り返し思い出させられた,無視された,仕事を監視された,沢山の仕事を与えられた等の行為を経験した者において,有意に外傷性ストレス反応が高かった。看護師へのメンタルヘルスケアを推進する上で,パワーハラスメント防止に向けた職場環境改善の必要性が示唆された。(表6)
著者
渡邉 雅之
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.71-75, 2014 (Released:2016-01-25)
参考文献数
6

呼吸用保護具の漏れ率を確認する定量フィットテスターは日本では 「労研マスク・フィッティングテスターMT-03(柴田科学株式会社製)」,欧米では 「PortaCount Pro(米国TSI社製)」 が主に使用されている。本研究では株式会社重松製作所からの提案のもと柴田科学株式会社が開発した定量フィットテスター 「マスク内圧・フィッティングテスター(MNFT)」 のマスク内圧および漏れ率について検証を行った。対象マスクは取替え式防じんマスク(DR)と電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)を使用した。結果よりMNFTは呼吸用保護具の漏れ率をリアルタイム観察できるため,装着状況の改善や呼吸用保護具の性能評価に有用であることが示された。(図7,表1)
著者
今井 靖雄 蓮花 一己
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.91-103, 2019 (Released:2020-08-08)
参考文献数
35

本研究では,テレビゲームを用いて,運転場面における感情と生理反応の攻撃行動への影響を検証した。実験参加者は,16名の若年群と15名の中年群であった。実験参加者は,カーレースゲームをプレイし,普段の運転やゲームに関する質問紙に回答した。ゲーム中の攻撃行動とゲーム中の生理指標が測定された。重回帰分析を行った結果,若年群の攻撃行動は,主観的欲求不満感情と複数の生理反応が有意になったものの,中年群の攻撃行動は欲求不満感情も生理反応も影響を及ぼしていなかった。(図2,表7)
著者
堀口 俊一 寺本 敬子 西尾 久英 林 千代
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.130-142, 2012 (Released:2014-03-25)
参考文献数
46

我が国において,1895(明治28)年に「所謂脳膜炎」と称される乳幼児の疾病が報告されて以来,その原因が母親の用いる白粉中の鉛による中毒であることが1923(大正12)年京都大学小児科教授平井毓太郎によって明らかにされた。以来,小児科学領域において,該疾患に対する研究報告が堰を切ったように発表された。本稿では,前報及び前々報に続き,1927(昭和2)年以降,鉛白使用化粧品に対する規制が明文化された1930(昭和5)年までの4年間に「児科雑誌」に発表された該疾患に関する諸論文,学会発表等83編を内容別に分類し,今回はそのうち総説,症例,臨床所見,診療,病理・剖検の各項目について取り上げて論考した。(写真3)
著者
飯田 裕貴子 吉川 徹
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.53-64, 2014 (Released:2016-01-25)
参考文献数
20

本研究では,呼吸用保護具の着用教育未経験者11名,着用教育経験者1名に折りたたみ式使い捨て呼吸用保護具を着用させ,着用方法の教育前後での全漏れ率を評価した。また,着用教育未経験者から観察された代表的な着用方法の間違いについて検討を行った。漏れ率の測定は米国労働安全衛生局の定量的フィットテスト手順に従い,測定器は労研式マスクフィッティングテスターMT-03™を使用した。着用方法の教育後,漏れ率の減少が確認された。また,着用時の動作よりも,着用教育の有無が漏れ率に大きく影響していた。代表的な着用方法の間違いとしては,折りたたみ面体を立体にしない,締め紐の位置不適切等が確認された。(図8,表4)
著者
湯淺 晶子 吉川 悦子 吉川 徹
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.10-29, 2019 (Released:2020-02-10)
参考文献数
35

参加型職場環境改善の評価における課題と生産性・職場活力向上に資する指標について文献検討した。3つのデータベース(医中誌,,PubMed,,CHINAL)から1999〜2016年に発表された原著論文のうち,参加型職場環境改善の介入研究において何らかの評価結果が記載されている文献を分析対象とし,コーディングシートに従って文献に記載されている内容を整理した。その結果,32編の論文が抽出された。評価指標は,「身体的な健康アウトカム」,「心理社会的な健康アウトカム」,「職場風土・職場文化に関する指標」,「生産性に関するアウトカム」,「労働災害・災害休業・職業性疾患の発生件数」,「その他」に分類され,すべての研究が複数の評価指標を設定していた。この中で12編は介入により有意な改善がみられた。参加型職場環境改善に対する評価指標の選択には,改善する動機や目的を主効果として測定しており,それぞれの取り組み背景や主目的により設定する評価指標そのものが異なっていた。有意な改善が見られていない報告もあり,職場環境改善の目的に応じた適切な評価指標の設定と体系的な評価方法を用いることが重要である。(表1)
著者
鈴木 一弥 落合 信寿 茂木 伸之 山本 崇之 岸 一晃 浅田 晴之
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.117-129, 2014 (Released:2016-03-25)
参考文献数
16

高さが可変できるデスクを使用した立位の挿入がデスクの作業者の下腿周径,主観的疲労感,作業パフォーマンスに及ぼす影響を検討した。12名(男性6名,女性6名)の被検者が実験に参加した。2時間のパソコン作業(文章転写)を(1)座位条件,(2)20分間の立位と40分間の座位の繰り返し(転換条件),(3)立位条件,の3条件で実施した。左足の下腿周径,主観的疲労感,身体違和感,反応時間課題が作業開始前,作業開始後20分,60分,80分,120分に測定された。左足・足首および膝・下腿の違和感は立位と比較して座位および転換条件で有意に低下した。臀部の違和感は座位条件と比較して立位および転換で低下した。眠気の平均評定値は,座位>転換の傾向差を示した。下腿周径は,座位と比較して転換条件で有意に低下した。(図8)
著者
松元 俊
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.39-44, 2015

<p>本研究は,16時間夜勤をともなう2交代勤務の導入が,看護師の夜勤明けおよび休日の生活行動時間に及ぼす影響について調べた。18名の女性看護師(平均年齢38歳)が2交代勤務に1ヶ月間従事し,その後1ヶ月間は3交代勤務に従事した。その結果,夜勤明けの睡眠時間に勤務間で有意差はみられず,16時間夜勤での仮眠取得有無で分けても同様であった。夜勤明けでは食事時間が16時間夜勤後(60.8分)で8時間夜勤後(43.0分)より有意に長かったが(p=0.014),反対に休日では自宅外での趣味・娯楽が2交代勤務(161.5分)と比較して3交代勤務(234.6分)で長かった(p=0.028)。以上より,2交代勤務化が生活時間を改善する様子はみられず,むしろ自由時間が減少していた。(表2)</p>