著者
金野 俊太郎 大河内 博 黒島 碩人 勝見 尚也 緒方 裕子 片岡 淳 岸本 彩 岩本 康弘 反町 篤行 床次 眞司
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2012 年より積雪期を除き 1 ヶ月もしくは 2 ヶ月毎(2015 年以降)に,浪江町南津島の山林でスギと落葉広葉樹の生葉,落葉,表層土壌,底砂の放射性Cs濃度を調査した.福島市-浪江町間の走行サーベイでは,除染により空間線量率は急速に減衰したが,未除染の山林では物理的減衰と同程度であった.2014 年以降,落葉広葉樹林では林床(落葉と表層土壌)で放射性Csは物理減衰以上に減少していないが,スギ林では生葉と落葉で減少し,表層土壌に蓄積した.2014 年までスギ落葉中放射性Csは降水による溶脱が顕著であった.2013 年春季には放射性Csはスギ林よりも広葉樹林で表層土壌から深層に移行していたが,2015 年冬季にはスギ林で深層への移行率が上回った.小川では放射性Csは小粒径の底砂に蓄積しており,一部は浮遊砂として流出するが,表層土壌に対する比は広葉樹林で2013 年:0.54,2015 年:0.29,スギ林で 2013 年:1.4,2016 年:0.31 と下がっており,森林に保持されていることが分かった.しかし,春季にはスギ雄花の輸送による放射性Csの生活圏への流出が懸念された.