著者
黒沢 一也
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.27-30, 2018 (Released:2019-07-25)
参考文献数
10

新鮮Monteggia骨折の治療は橈骨頭脱臼の確実な整復が重要である.橈骨頭の観血的整復術を要した新鮮Monteggia骨折を後ろ向きに検討した.対象は17例17肘,骨端線閉鎖前(小児例)は14例で年齢は2~14歳(平均7.9歳),骨端線閉鎖後(成人例)は3例で年齢は18,32,73歳である.14例で手術治療,3例で保存治療を行った.全例透視下に橈骨頭の整復位を確認し,前腕回内でわずかでも橈骨頭が前方脱臼を示した症例は全て観血的に橈骨頭の観血的手術を行った.観血的整復術を要したのは,小児例では14例中5例(35.7%),成人3例は全てであり,小児と成人例を合せると47.1%であった.全例で輪状靱帯と関節包が上腕骨小頭を覆うように腕橈関節に介在し橈骨頭の整復障害因子となっていた.新鮮Monteggia骨折の治療にあたっては前腕回内位での橈骨頭の整復状態を注意深く確認することが重要である.
著者
渡辺 秀臣 大沢 敏久 饗場 佐知子 鈴木 秀喜 長谷川 仁 黒沢 一也 高岸 憲二
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.137-142, 2004-05-01
被引用文献数
1

【背景】少年期から青年期のスポーツには成長期の傷害が発生する.【目的】高校球児の障害発生予測因子の解明を目的とした.【対象と方法】群馬県高校野球連盟に登録された投手122名を対象にメディカルチェックを行い,疼痛の発生に関係する因子を解析した.【結果】肩関節の可動域は投球側で有意に内旋角度が減り,外旋角度が拡大していた.疼痛を訴えた球児は28名,23.0%であった.疼痛の発生に有意に関連を有したものは,球速,烏口突起の圧痛,肩インピンジメント徴候,肩上方関節唇損傷検査項目であり,肩関節不安定症の検査には影響を受けなかった.X線検査には痛みに関連した異常は見られなかった.【結語】高校球児の投手の疼痛には肩インピンジメント症候群とSLAP損傷が大きな誘因となっていることが示唆され,これらを示唆する検査の陽性生徒には理学療法の指導が必要であることが示唆された.