著者
山本 敦史 高岸 憲二 岡邨 興一 設楽 仁 山口 蔵人 一ノ瀬 剛 小林 勉 大沢 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.471-474, 2010 (Released:2010-09-03)
参考文献数
9
被引用文献数
6

The purpose of this study was to investigate the influence of the variance of posture on shoulder pain and rotator cuff tears. A medical checkup was conducted for the residents of a mountain village in Gunma prefecture. The subjects consisted of 525 people including 1050 shoulders; 193 males including 386 shoulders and 332 females including 664 shoulders, with a mean age of 61.9 years old. We took their side view picture in a standing position, and divided them into 5 types according to the classification of Nakatani; normal (type 1), thoracic kyphosis (type 2), lumbar kyphosis (type 3), flat back (type 4), lumbar lordosis (type 5). We examined their background factors, physical examinations and ultrasonographic diagnosis of rotator cuff tear on both shoulders. We elucidated the prevalence of shoulder pain and rotator cuff tears with respect to each variance of posture. Additionally the subjects were divided into 2 groups; namely a Normal group (type 1), and a postural abnormality group (type 2-5). The differences between the 2 groups were evaluated.The normal type was present in 50.1%, thoracic kyphosis type in 24.6%, lumbar kyphosis type in 4.2%, flat back type in 6.7%, and lumbar lordosis type in 14.5%. Residents having shoulder pain frequently demonstrated thoracic kyphosis, flat back and lumbar lordosis. In addition, residents having rotator cuff tears frequently demonstrated thoracic kyphosis and lumbar kyphosis. The postural abnormality group was most commonly associated with elderly patients, who showed a decreased active forward elevation, a weaker external rotation strength, a positive finding for impingement sign and a decreased QOL. A logistic regression analysis revealed age, gender, present shoulder pain, an active forward elevation and EuroQOL (5 item) to all be significantly associated with an abnormality in the posture of these subjects.
著者
濱野 哲敬 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 佐々木 毅志 高岸 憲二 角田 陽平 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.810-814, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

腱板修復術後の筋萎縮・脂肪浸潤の変化について検討を行った過去の報告は,腱板修復術の手術操作そのものによる影響を考慮しておらず正確な評価がなされていない.本研究の目的は腱板修復術により腱板構成筋群の筋萎縮,脂肪浸潤が改善しうるか,術後早期と術後1年のMRIを用いて検討することである.2010年4月から2012年3月の間に肩腱板断裂の診断にて鏡視下腱板修復術を行った52例52肩を対象とした.筋萎縮の評価はThomazeauらの方法に準じて,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋のOccupation ratioを計測し,脂肪浸潤の程度は同じスライスでGoutallier分類に準じて評価した.修復術後2週と1年でのそれぞれの評価を比較検討すると,筋萎縮は棘上筋のみで有意に改善し,この変化は中断裂以下で認められ,脂肪浸潤は棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の全てで有意に改善し,この変化は大・広範囲断裂例で認められた.
著者
荒 毅 飯塚 伯 高岸 憲二
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.150-154, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
11

脊椎再建・固定術に際し自家腸骨を採取し術後6カ月以上経過した77例を対象として採骨部痛を調査検討した.採取部位や方法にて後方腸骨(後方群),前方腸骨全層骨(全層骨群),前方腸骨半層骨(半層骨群)の3群に分類し,全層骨群と半層骨群で疼痛発生率について統計学的検討を行った.全症例中16例(20.8%)に術後の疼痛を認め,後方群の20例中5例(25%),全層骨群の33例中9例(27%),半層骨群の24例中2例(8%)に術後疼痛を認めた.統計学的有意差は認められなかったが,半層骨群では全層骨群に比し疼痛を訴える症例は少ない傾向であった.
著者
設楽 仁 高岸 憲二 下山 大輔 石綿 翔 高澤 英嗣 一ノ瀬 剛 山本 敦史 小林 勉
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.755-759, 2013

<B>Background:</B> There are many studies about the relationship between brain functional changes and chronic pain such as CRPS, fibromyalgia, osteoarthritis of the knee and chronic back pain.<BR>However there is no study about the relationship between brain functional changes and shoulder disease. The purpose of this study is to clarify the brain functional changes regarding to shoulder pain using functional magnetic resonance image (fMRI) in rotator cuff tear (RCT) patients.<BR><B>Methods:</B> Nine healthy volunteers and 9 RCT patients participated in this study. Brain activation was examined by fMRI technique (3 Tesra-MRI). We applied an active shoulder motion task and a motor imagery task during fMRI.<BR><B>Results:</B> In the active shoulder motion task, there was significant activation in the right premotor cortex, right primary somatosensory cortex, right superior parietal lobule, bilateral prefrontal cortices, right intraparietal sulcus, anterior cingulate cortex, left lingual gyrus and left cerebellum in RCT group compared to normal group.<BR>In the motor imagery task, there were brain activities in the left prefrontal cortex and supplementary motor area which was related to the pain matrix despite the absence of feeling pain in RCT group compared to normal group. <BR><B>Conclusion:</B> The current study reveals that RCT can cause reorganization of the central nervous system, suggesting that such an injury might be regarded as a neurophysiologic dysfunction, not a simple peripheral musculoskeletal injury. This study is the first evidence that the pain with RCT is related to the brain functional change.
著者
芹澤 志保 中澤 理恵 白倉 賢二 大沢 敏久 高岸 憲二 山路 雄彦 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.483, 2003

【目的】我々は、群馬県高校野球連盟(県高野連)からの依頼により第84回全国高校野球選手権群馬県大会においてメディカルサポートを行った。以前より高校野球全国大会ではメディカルサポートによる傷害予防がなされているが、本県では今回が初の取り組みとなった。本研究の目的は、メディカルサポートの内容を紹介すると共に今後の課題を検討することである。【対象及び方法】対象は、第84回高校野球選手権群馬県大会4回戦(ベスト16)以降に出場した延べ32チームとした。メディカルサポートを行うため、群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じ、本県内の理学療法士にボランティア参加を募った。県高野連から依頼のあったメディカルサポートの内容は、投手及び野手別のクーリングダウン(ストレッチング)指導であり、これら指導内容を統一するため事前に3回の講習会を行った。また、高校野球における投手では連投となることが多いため、投球イニング、肩および肘関節の痛みの有無、疲労感等に関するチェック表を作成した。準決勝・決勝戦を除き試合会場は2球場であり、各球場に理学療法士は投手担当2名、野手担当4名以上、医師は1名以上が常駐するよう配置した。【結果及び考察】メディカルサポート参加者は、理学療法士延べ64名(実数40名)、医師9名(実数5名)であった。その内訳は、投手担当が延べ19名、野手担当が延べ46名であった。メディカルサポート内容は、クーリングダウン、試合前および試合中のアクシデントに対するテーピング、熱中症対策であった。準々決勝の1チームと決勝の1チームを除く30チームに対してクーリングダウンを行った。投手は延べ37名であった。投手の肩および肘の痛みについては、肩外転位での外旋で痛みを訴えたもの0名(0%)、水平内転で痛みを訴えたもの1名(2.7%)、肘に痛みを訴えたもの11名(29.7%)であり、肘痛が最も多かった。また、テーピングは延べ13名(実数6名)に実施し、その全員が野手であった。さらに、熱中症に対する応急処置として理学療法士・医師が相当数救護にあたり、過呼吸に対する応急処置の依頼もあった。これらクーリングダウン以外のサポートは、当初県高校野球連盟より依頼されていなかったものであるが、現場では外傷・熱中症などの応急処置は必要不可欠であったためすべてに対応した。今後の課題として、メディカルサポートの内容について県高野連と調整すると共にテーピングを含めた応急処置に関する技術の確認などの必要性が示唆された。
著者
佐々木 毅志 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 濱野 哲敬 高岸 憲二 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.411-413, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
13

夜間痛は肩関節疾患の特徴的な愁訴の一つであるが,その詳細については不明な点が多い.本研究の目的は肩関節疾患における夜間痛について調査を行い,その特徴と背景因子について検討することである.2011年4月1日から2013年3月31日の期間における当科肩外来初診患者232人を対象とした.男性121人,女性111人,平均年齢56.4歳であった.年齢,性別,診断名,罹患側,肩関節痛の症状,肩関節可動域,筋力,夜間痛の頻度,夜間痛の症状,理学所見との関連について調査を行った.対象の58.2%に夜間痛を認め,その64.4%は肩痛のためほとんど毎日夜間に覚醒し,93.3%は体位による疼痛の増減を認めた.夜間痛がある例はない例と比較すると年齢が高く,安静時痛が強い例が多かった.
著者
渡辺 秀臣 大沢 敏久 饗場 佐知子 鈴木 秀喜 長谷川 仁 黒沢 一也 高岸 憲二
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.137-142, 2004-05-01
被引用文献数
1

【背景】少年期から青年期のスポーツには成長期の傷害が発生する.【目的】高校球児の障害発生予測因子の解明を目的とした.【対象と方法】群馬県高校野球連盟に登録された投手122名を対象にメディカルチェックを行い,疼痛の発生に関係する因子を解析した.【結果】肩関節の可動域は投球側で有意に内旋角度が減り,外旋角度が拡大していた.疼痛を訴えた球児は28名,23.0%であった.疼痛の発生に有意に関連を有したものは,球速,烏口突起の圧痛,肩インピンジメント徴候,肩上方関節唇損傷検査項目であり,肩関節不安定症の検査には影響を受けなかった.X線検査には痛みに関連した異常は見られなかった.【結語】高校球児の投手の疼痛には肩インピンジメント症候群とSLAP損傷が大きな誘因となっていることが示唆され,これらを示唆する検査の陽性生徒には理学療法の指導が必要であることが示唆された.