著者
黒須 朱莉
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.103, 2019 (Released:2019-12-20)

本研究の「IOCにおける国歌国旗廃止案」とは、オリンピック競技大会における国歌や国旗を用いた儀礼を廃止しようとする案のことを指す。これまで、1953年から1974年までのIOC関連会議では、国歌国旗の廃止を求める提案が審議されてきたことが明らかになっている。この間の廃止案の展開は、第1期(1953-1957)国歌廃止案の提起、第2期(1960-1963)国歌廃止案に対するIFの賛同とIOC総会での支持の広がり、第3期(1965-1968)国歌国旗廃止案の提起とIOC総会での支持の広がり、第4期(1973-1974)IOC総会における国歌国旗廃止案の消滅に区分することができる。その後の国歌国旗廃止に関わる諸事実は、オリンピックを対象とした文献や研究の中で断片的に触れられているものの、廃止案の連続性という観点からの検討は行われていない。以上のことから、本発表では1974年に総会の審議事項から消滅した廃止案のその後の展開を、1975年から1981年までに定め、この間のIOC関連会議における国歌国旗廃止に関する提案の有無、及び提案と審議の内容を整理し、1974年以前との連続性を検討することを目的とする。