著者
齊藤 準
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.163-167, 1993-08-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

エリサン,シンジュサンおよびこれらの亜種間交雑種について25±1℃, 16L-8Dの光周条件下で産卵習性を調査した。1) エリサンの産卵の経時的変化は,交尾蛾では交尾後1日と2日の暗期に総産下卵数の約75%が集中的に産卵され,明期での産卵はほとんどみられなかった。一方,未交尾蛾では,羽化後3日から8日までの長期に渡り明暗両期間で産卵がみられた。2) エリサンおよびシンジュサンそれぞれの雌蛾1頭当りの卵塊数は,エリサンよりも,シンジュサンの方が約2.5倍多かった。3) エリサンおよびシンジュサンそれぞれの産卵習性は,エリサンで1卵塊当りの産下卵数が50卵以上にも及ぶ集中性の大卵塊を形成したのに対して,シンジュサンでは,1~10卵程度の比較的少ない産下卵からなる散在性の小卵塊を形成した。4) エリサンとシンジュサンの亜種間正逆交雑種(F1)におけるそれぞれの産卵習性を調べた。エリサン♀×シンジュサン♂のF1雌蛾は散在性の小卵塊を形成し,シンジュサン♀×エリサン♂のF1雌蛾は集中性の大卵塊を形成した。
著者
齊藤 準
出版者
日本蚕糸学会
雑誌
蚕糸・昆虫バイオテック = Sanshi-konchu biotec (ISSN:18810551)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.153-158, 2011-12-01

チョウ目幼虫で共通してみられる色彩的特徴の一つは,緑色の体色が多いということである。アオムシなどという呼び方もあるように,彼らの多くはなぜか緑色をしている。幼虫は主に植物の葉を食べて成長することから,緑色は彼らの生息環境の中で保護色として天敵から逃れるために役立つものと考えられる。では,緑色の色彩発現はどのようなメカニズムによっておこるのか? 本稿では,大型絹糸昆虫の野蚕類でみられる緑色発現に重要な役割をはたす青色色素のピリンとその結合タンパク質の性質と生理機能について紹介する。