著者
村上 大輔 澤津橋 基広 吉川 沙耶花 西嶋 利光 齊藤 章 加藤 昭夫 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.30-38, 2012 (Released:2013-01-01)
参考文献数
16

花粉症に対する皮下免疫(減感作)療法は、唯一根治を期待できる治療法である。しかしながら頻回に注射が必要なことや重篤な有害事象が起こる可能性があるため、より侵襲が少なく、利便性が良く、安全な減感作治療法が期待されてきた。そこで簡便に減感作を行える新規経口免疫寛容剤 (スギ抗原 - ガラクトマンナン複合体) を用いて、花粉症患者に対する減感作治療の安全性、その効果について検討した。減感作中の有害事象は、5 名中 1 名で全身倦怠感を認めたのみであった。また、花粉飛散期での鼻症状、重症度スコア、VAS、medication score は、薬物治療群と比較して減感作治療群でスコアの改善がみられた。これらの結果から少人数のパイロット研究ではあるが経口免疫寛容剤 (スギ抗原 - ガラクトマンナン複合体) を用いた経口免疫療法は、重篤な有害事象を認めず、短期間での減感作治療効果が期待でき、花粉症に対する治療の一つの選択肢になり得ると考えられた。