著者
沼倉 茜 吉川 沙耶花 上條 篤 松田 帆 新藤 晋 池園 哲郎 加瀬 康弘 神山 信也 伊藤 彰紀 大澤 威一郎
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.134-138, 2018-02-20 (Released:2018-03-07)
参考文献数
15

拍動性耳鳴に対しては, 器質的疾患の存在を疑う必要がある. 今回われわれは, 拍動性耳鳴を主訴に来院し, 横- S 状静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断された1例を経験した. 拍動性耳鳴の診断には頸部血管の圧迫による変化と聴診が重要である. 硬膜動静脈瘻のスクリーニングには脳 MRA が優れている. しかし, 脳疾患の MRA 診断においては脳主幹動脈領域のみを関心領域とした MIP 画像が用いられることが多く, 外頸動脈系や静脈洞が関与する硬膜動静脈瘻は見落とされる可能性がある. したがって, 見落としを避けるには, MIP 画像のみならず MRA の元画像を確認することが重要である. 硬膜動静脈瘻は根治が期待できるため見落とさないことが重要である.
著者
村上 大輔 澤津橋 基広 吉川 沙耶花 西嶋 利光 齊藤 章 加藤 昭夫 小宗 静男
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.30-38, 2012 (Released:2013-01-01)
参考文献数
16

花粉症に対する皮下免疫(減感作)療法は、唯一根治を期待できる治療法である。しかしながら頻回に注射が必要なことや重篤な有害事象が起こる可能性があるため、より侵襲が少なく、利便性が良く、安全な減感作治療法が期待されてきた。そこで簡便に減感作を行える新規経口免疫寛容剤 (スギ抗原 - ガラクトマンナン複合体) を用いて、花粉症患者に対する減感作治療の安全性、その効果について検討した。減感作中の有害事象は、5 名中 1 名で全身倦怠感を認めたのみであった。また、花粉飛散期での鼻症状、重症度スコア、VAS、medication score は、薬物治療群と比較して減感作治療群でスコアの改善がみられた。これらの結果から少人数のパイロット研究ではあるが経口免疫寛容剤 (スギ抗原 - ガラクトマンナン複合体) を用いた経口免疫療法は、重篤な有害事象を認めず、短期間での減感作治療効果が期待でき、花粉症に対する治療の一つの選択肢になり得ると考えられた。
著者
植木 仰 吉川 沙耶花 鼎 信次郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2015

国際河川流域は,各流域国の間で農業,工業,生活,環境用水をめぐる争い(越境水紛争)の舞台となってきた.多くは流域国同士の話し合いにより解決する努力がなされてきたが,武力行使による軍事衝突が20世紀の間にアフリカと中東にて7件報告されている.人口増加や気候変動により世界規模での将来の水逼迫が深刻化した場合,稀少となった水資源を確保するために,国家間で政治的対立や武力衝突が頻発するリスクは否定できないため,水逼迫と水紛争の関係性を定量的に分析することは大変重要な課題であると言える.そこで,本研究では全球水資源モデルから推定された水逼迫指標を用いた過去の水逼迫状態や考えられる過去の水紛争要因から国際河川流域における越境水紛争生起確率モデルを構築した.構築されたモデルは概ね良好な予測性能を有すると言える結果となった.しかし,モデル構築に関して仮説の設定や説明変数の選出にはまだまだ検討の必要な課題があり,今後も情報収集を進めて,モデルの改良に取り組む予定である.