- 著者
-
澤津橋 基広
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.124, no.1, pp.14-20, 2021-01-20 (Released:2021-02-01)
- 参考文献数
- 20
1999年に世界アンチ・ドーピング機構 (WADA) が設立され, 五輪では2004年アテネ開催からこのWADA規程によって行われるようになった. 毎年改訂される WADA 規程の禁止表国際基準で, 現役アスリートには使用できない薬物が示されているが, アレルギー疾患の有病率が約50%の現在, トップアスリートの治療にかかわる機会は極めて低いものの, ドーピングコントロール下にある国体選手など, 一般のアマチュア選手を治療する機会は, どの医師でもその可能性はある. 誤った知識で, アスリートに対するアレルギー性鼻炎の治療が制限され, 競技パフォーマンスを下げることがないように, どのような薬剤が禁止薬物で, どのような医療行為が禁止なのか, 医療関係者は, ある程度知識を持つ必要はある. 特に, アレルギー性鼻炎患者は, 気管支喘息やアトピー性皮膚炎の合併も少なくなく, フェキソフェナジン・プソイソエフェドリン配合薬や糖質コルチコイド, 交感神経 β 2 受容体作動薬などの正しい知識が求められる.