著者
齋藤 宗香 倉橋 節也
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第4回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.67, 2011 (Released:2012-03-14)

本論文では,ネットワーク上でのエージェントベースの製品普及モデルを提案し、シミュレーションによって、情報効果と規範効果が情報を伝える経路が異なることを示す。探索的な情報獲得を表す情報接触効果と、他の消費者に乗り遅れまいとするイミテーション行動と社会からの期待を表す規範効果の両者を検討する。情報伝播の性質や経路はそれぞれ異なっており、従来のシミュレーションによる口コミ研究のように、これらの2つの効果のいずれかを用いて「口コミ効果」とするには限界があることを示す。実験の結果、オンライン上の人間関係ネットワークにおいて普及を引き起こすには、他の消費者とのつながりの多いオピニオンリーダーが製品を採用し、その経験を他の消費者に伝達するだけでは不十分であり、その情報を受け取った非オピニオンリーダー同士がコミュニケーションを行うことにより普及が全体に広がっていくことが示唆された。