著者
齋藤 幸平
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

現代社会が直面する経済・民主主義・気候変動の複合的危機は、資本主義システムそのものの効率性や正当性に疑念を投げかけるようになっており、「ポスト・キャピタリズム」をめぐる思想を活性化させている。本研究は、「脱成長」と「グリーン・ニューディール」に着目し、そのポテンシャルを批判的に検討する。通常相容れないとみなされている両者の洞察を統合することで危機を乗り越えるポスト・キャピタリズム論の展望を目指す。
著者
齋藤 幸平
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、カール・マルクスのエコロジカルな資本主義批判の方法論が、「存在論的一元論」と「方法論的(分析的)二元論」を採用していることが明らかとなった。近年マルクスは「社会」と「自然」のデカルト的「存在論的二元論」を採用していると批判されてきたが、それは誤っていることが示された。さらに、「方法論的二元論」を採用することで、資本主義の歴史的特殊性を把握することができる。その点において、マルクスの理論的枠組みは、ハイブリッドを掲げる論者たちが採用する「存在論的一元論」と「方法論的一元論」のペアよりも優れていることが示された。