著者
山名 高志 西山 直樹 足立 雄太 川上 直樹 齋藤 弘明 山下 高明 若井 陽子 齊藤 和人 篠原 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.144-149, 2018-03-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
10

背景.特発性CD4陽性Tリンパ球減少症はHIV感染などの基礎疾患や免疫抑制剤の投与などの原因がなく,後天性にCD4陽性Tリンパ球が減少する稀な疾患であり,日和見感染を高率に合併する.症例.生来健康な68歳女性,亜急性の呼吸困難と胸部CTにてびまん性のすりガラス影を認め入院した.経気管支肺生検で肺胞内に多量のニューモシスチスの囊子を認め,末梢血CD4陽性Tリンパ球は著明に減少していた.HIV抗体は陰性で他の原因となる基礎疾患や薬剤投与歴はなく,特発性CD4陽性Tリンパ球減少症に合併したニューモシスチス肺炎と診断した.本症例の臨床像はHIV感染時と類似していたが,気管支肺胞洗浄液の細胞数の低下などHIV感染症時とは異なる所見も認めた.結語.合併したニューモシスチス肺炎を気管支鏡で診断した特発性CD4陽性Tリンパ球減少症の1例を経験した.