著者
山名 高志 西山 直樹 足立 雄太 川上 直樹 齋藤 弘明 山下 高明 若井 陽子 齊藤 和人 篠原 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.144-149, 2018-03-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
10

背景.特発性CD4陽性Tリンパ球減少症はHIV感染などの基礎疾患や免疫抑制剤の投与などの原因がなく,後天性にCD4陽性Tリンパ球が減少する稀な疾患であり,日和見感染を高率に合併する.症例.生来健康な68歳女性,亜急性の呼吸困難と胸部CTにてびまん性のすりガラス影を認め入院した.経気管支肺生検で肺胞内に多量のニューモシスチスの囊子を認め,末梢血CD4陽性Tリンパ球は著明に減少していた.HIV抗体は陰性で他の原因となる基礎疾患や薬剤投与歴はなく,特発性CD4陽性Tリンパ球減少症に合併したニューモシスチス肺炎と診断した.本症例の臨床像はHIV感染時と類似していたが,気管支肺胞洗浄液の細胞数の低下などHIV感染症時とは異なる所見も認めた.結語.合併したニューモシスチス肺炎を気管支鏡で診断した特発性CD4陽性Tリンパ球減少症の1例を経験した.
著者
大島 伸一 藤田 民夫 小野 佳成 加藤 範夫 松浦 浩 竹内 宣久 西山 直樹 水谷 一夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1673-1678, 1994
被引用文献数
2

多発性嚢胞腎疾患症例における腎機能廃絶後の透析期の腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の発生頻度とそれらの治療における腎摘出術の有効性を検討した. 対象は透析をうけている多発性嚢胞腎疾患症例41例で, 男性25例, 女性16例, 平均年齢は55歳, 平均経過観察期間69ヵ月である. 腎盂腎炎および嚢胞感染は13例 (32%) 21回が, 嚢胞出血は13例 (32%) 16回にみられた. ともに保存的治療に反応しない場合やくり返す場合には腎摘出術を行った. それぞれ両側腎摘出術を10例, 片腎摘出術を1例に, また, 両側腎摘出術を5例, 片側腎摘出術を2例に施行した. 手術死は1例にみられた. 不明1例を除く14例の術後平均観察期間70ヵ月であったが, 両側腎摘出術後の無腎状態から生ずる貧血は13例93%に, 低血圧は5例33%にみられた. 以上の結果より維持透析をうけている多発性嚢胞腎疾患では, (1) 腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の合併症が高頻度で生ずること, (2) これらの合併症が腎機能廃絶後では透析と相まって保存的治療では治療困難であること, (3) 貧血や低血圧に対する治療は必要となるものの両側腎摘出術は有効な治療法となりうることが示唆された.
著者
西山 順博 細見 美津子 松井 泰成 大西 延明 上坂 保恵 清水 満里子 千田 素子 松井 薫 坂口 和代 西山 直樹 西本 美和
出版者
Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1119-1124, 2015

最後まで食べるためには、摂食嚥下支援を含む食支援が必要である。摂食嚥下支援には、栄養管理とリハビリテーションが重要であり、主に病院で医療職が中心の Nutrition Support Team(NST)で多職種が行うキュア要素が強い支援である。食支援は病院だけではなく、施設や在宅においても必要なものであり、医療職だけではなく、介護福祉職、ご近所さん、家族までもがチームとなって患者(利用者)をサポートできるケア要素が強い支援である。いずれの支援においても、栄養管理とリハビリテーションの両輪で最後まで食べることを支えていくことになる。十分な栄養管理をするためには、何らかの人工的水分・栄養補給法(Artificial Hydration and Nutrition;AHN)による栄養療法が必要となることがある。しかし、昨今、在宅療養でも AHNを望まないケースが増えてきている。このようなケースに対して、病院 NSTは介入を中止するのでなく、摂食嚥下支援を食支援へ上手く翻訳し、在宅 NSTへとバトンをいただきたい。また、AHNが栄養状態を改善することだけを目標とした延命治療ではなく、ある時は、緩和治療として必要栄養と水分を充足し、リハビリテーションのサポートを行い、ある時は、緩和ケアとして患者(利用者)や家族の Quality of Life(QOL)を向上するものであることを再認識していただきたい。高齢化を迎えている日本では、健康寿命を延伸することと、要介護状態(平均寿命-健康寿命)の QOLを向上させることが重要であり、それに向けた活動が評価される。在宅 NST、在宅療養サポートチーム(Home care Support Team;hST)の活動もそれを意識した取り組みを行い、成果を上げなければいけない。